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EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションのVANVANのレビュー・感想・評価

4.5
私はこの作品が大好きで、だから敢えて誤解を恐れ出ずに言うと、
エウレカセブンは最後までエヴァンゲリオンに真向から向かって行って完敗した美しく心地いい作品でした。
製作者の皆様には感謝の言葉しかありません。

テレビアニメのときからエウレカセブンはエヴァンゲリオンと比較、意識されてきた作品だった。
正体不明の敵と戦い、いわゆるセカイ系と言われる主人公とヒロインの関係性が物語世界の運命を決める類の作品であることが大きな要因で、
さらにはエヴァが多用したクラシック音楽との対比としてテクノ系のサウンドがエウレカセブンでは作品の中核に添えられた。
さらにはエヴァがキリスト教の聖書が物語のベースとして存在しているのに対して、エウレカセブンでは仏教思想が根底にある。
まるで合わせ鏡のような配置である。
唯一異なっているのは碇シンジは成長しない主人公で大人とも距離をとっているのに対して、
レントンはヒロインを好きなることで成長し、世界の真実を知り、周囲の大人たちも巻き込んで世界を救おうと能動的に行動する。
そういう意味ではアニメとしては王道の主人公として、朝の7時から子供に向けた物語としては100点満点だった。
だがしかし、だからこそエヴァと比べた時に見劣りしてしまう。
劣化コピーという意味ではなく、きれい過ぎて欠点がない。それは作家性の差なのかもしれない。
完璧であるがゆえに、完璧であることを放棄したエヴァに魅力が劣ってしまうという不条理が存在していると思う。
ただある時期のエヴァの上澄みだけ模倣した多くの作品とはエウレカセブンでは一線を画している。
一線どころではなく数段素晴らしい。ロボットアニメの歴史に名を遺す名作だと思っています。
テレビアニメ50話の中で神回の多さは群を抜いているし、バレエメカニックは思い出すだけで涙腺にくる。
名セリフと名シーンのオンパレードだ。
そんなエウレカセブンがエヴァと呼応するように新しく劇場版3部作をやってしまうというのだから、どこまでもエヴァに対して真向から向かって行ってくれる気持ち良さに感謝しかない。
そして両作品とも今年完結するという奇妙な巡り合わせが起きた。

前を置きが長くなったが、ここからが本編の感想。
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ここからちょいネタバレ

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・オマージュの多さがいい
 逆襲のシャア、ユニコーンガンダム、閃光のハサウェイ、マクロス、ウルトラマン、ターミネーター、合体ロボット
 もう盛りだくさんすぎてあきることはない
・エウレカの生きざまがかっこいい
 過去を改変するために何度も作り返すも同じ結末をたどってしまう少女が現実を受け止めて世界を守る
 筋トレと酒しか飲まない
・この映画のタイトルが「EUREKA」でキャッチコピーが「少女の終わり、少女のはじまり」であることが理解できた瞬間の感動
 終わり、じゃないんだ!という驚きとともに余韻に浸れた

とにかくこの映画は成長したエウレカを受け入れられるか否か、が評価の分かれ目だと思う。
私は全然自然と受け入れられたし、強いエウレカだからこそ、最後のレントンと邂逅にカタルシスがあった。
あとは二人でどこえでも言って仲良く暮らしたらいい。
今度はちゃんと女の子と男の子を生んで育てて幸せになって欲しい。ただそれだけ。

後の世界のことはアイリスとトーマスにまかせましょう。


余談:
ラストシーンは実写で終わってくれたらもう言うことなしでしたねww
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