まーしー

ラプラスの魔女のまーしーのレビュー・感想・評価

ラプラスの魔女(2018年製作の映画)
2.5
2つの温泉地で起きた硫化水素中毒死。地球化学を専門とする大学教授(櫻井翔)が調査を行っていると、目の前に謎の女性(広瀬すず)が現れる——。

東野圭吾の同名小説は既読。あまり好みの内容ではなかったが、映画でもその印象を払拭できず。
私の肌に合わないのは、ミステリー×SFの組み合わせが、謎解きの時に何でもアリに思えてしまうからだろう。
東野作品らしく、ある程度は科学的根拠を持たせようとしていたが、「予知能力」を題材にする点で、リアリティに欠けることは確か。
殺人犯の動機も弱く、サスペンスとしても上質とは言い難い。

何より主演の桜井翔が大学教授に見えない。東野作品に登場する変人教授「ガリレオ」との差別化を意識したのかも知れないが、どこかキャラが薄く感じられた。
それに対し、広瀬すずは印象に残った。過去に影を持つ、ミステリアスな女性を好演していたように思う。

福士蒼汰や豊川悦司も出演するなど、キャストは豪華そのもの。
にもかかわらず本作が私に刺さらなかったのは、原作そのものが刺さらなかったことと無縁ではないだろう。

※ラブラスの悪魔とは
主に近世・近代の物理学分野で、因果律に基づいて未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念(Wikipediaより)。現在ではその概念が完全に否定されている。
本作では、未来を予知できる能力を持つ女性を「ラプラスの魔女」と呼んでいる。