じぇれ

ラプラスの魔女のじぇれのレビュー・感想・評価

ラプラスの魔女(2018年製作の映画)
2.8
【ミステリーのお約束とは?】

推理小説の原理主義者ではないので、ヴァンダインなどを引っ張り出して、ミステリーの骨法を説くつもりはありません。
それでもなお、犯人を当てるのか、動機を当てるのか、犯行方法を当てるのか、謎の方向性が見えないと、観ていて辛いもので。
本作のどこに行くのかわからない感じは、ミステリーの快感を伴わない迷子の感覚なんですね。

また、主人公が名探偵役となるはずが、序盤は、人と会って話を聞く(回想)だけ。
おまけに、物語の中心は広瀬すずさん演じるファムファタール(ってほどでもない)に移り、名探偵役は推理はおろか葛藤すらせずに終了。
小説では許されても、映画としては成立しない物語構造だったのが残念です。

その中でも、私が唯一感動したのが、ミッドポイントの広瀬さんと福士さんのシーン。
2人が会話しながら、奥から手前に歩いてくるのですが、まず左から入ってきたエキストラが数秒2人を隠します。
続いて奥からやってきたエキストラが、ずっと2人と併走しているように映りこみます。歩けども歩けども、彼は2人の横にピタリとつき、ようやく追いついたかと思えば、今度は右から横切って2人を隠します。
この不自然さと言ったら!
かつてエキストラをやっていた私からすれば、こんな動きはありえません。
作り手は意図をもって、彼らを動かしているのです。
そして、その意図らしきものは、クライマックスの不自然なカメラワークとともに浮かび上がってきます。
これはエキストラ革命と言っていいのではないでしょうか。

私が褒められるのは、このエキストラの演出と、高嶋政伸さんにあの名ゼリフを言わせたことだけです(笑)
申し訳ございませんm(_ _)m
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