じぇれ

ライフ・イットセルフ 未来に続く物語のじぇれのレビュー・感想・評価

3.4
【トリッキーな話法で綴る人間交差点】

ある哀しい事故。しかし、その後も残された人々の生活は続いていく……

『THIS IS US』ダン・フォーゲルマンが脚本・監督を手掛けた群像劇。
“信用できない語り部”が物語の核となっていて、一筋縄ではいかないストーリーテリングで様々な人々の葛藤を描き出しています。
なので、非常に見応えのある感動作に仕上がっていると言えるでしょう。

しかしながら、2点気になることがあり、私はハマりきることができなかったんですよ。

①観客を裏切る話法に拘るあまり、監督のテクニック自慢に見えてしまう。
一言で言えば、あざといんですね。
もう少し手数を減らしてくれた方が、人間ドラマに集中できたかと。

②セットアップがなされ、いよいよ本題だと思っていたところで、見事にはぐらかされてしまう。
一番見たかった、ある人とある人が出会ってからのドラマが、さらっと流されてしまうんですよ。
せっかく丁寧に積み上げてきたのに…
実に勿体ないです。
見応えのあるドラマを描かないなんて!

というわけで、個人的には消化不良。
ですが、あまり先読みをせず、素直に目の前のドラマだけを味わうようにすれば、かなり感動できるドラマだと思います。

※オスカー・アイザック1人だけ映画数本分の役作りをしていて感服。この方、本当に凄い!
一方、アントニオ・バンデラスは憂いのある瞳で勝負。こんなに繊細な役も似合うんですね!
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