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善惡の刃のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

善惡の刃(2016年製作の映画)
3.8
たまたまなんですが、こないだ見たばかりの「セシボン」で主人公 オ・グンテを演じたチョン・ウと、フォークトリオのイケメンメンバーで出てたカン・ハヌルがここでもコンビを組んでたんですね。

チョン・ウはセシボンの時とは随分と雰囲気が違ってて、この作品ではまるで大泉洋でしたよ。
世の中に3人似てる人がいると言いますが、このチョン・ウはまさに大泉洋に激似の3人のうちの1人に違いありません。

ヤクチョンの五叉路でタクシー運転手が殺害されるという事件が起き、その頃たまたま付近でバイク事故を起こした15歳の少年が、殺人犯として逮捕され10年間服役。
出所後に再審請求をし、事件から16年後に無罪が確定したという、実際に起きた冤罪事件をもとに描いています。

「殺人の追憶」や「哭声」など韓国映画でよく見る、有り得ない程のずさんな捜査や、拷問、嘘の自白の強要、証拠や証言の捏造などなどヤクザと紙一重で無能な警察、汚職にまみれた組織なんかが今作でも健在です。
警察のやってる事は捜査でもなんでもなく、ひとりの少年に対する歴とした犯罪なんですよね。
これ何十年も前の話ではなくて2000年の事件ですよ。
それが実話ベースということに本当に驚かされます。

そういう法も正義も真実もヘッタクレもない警察を相手に、これまた成功することしか頭にない金目当ての弁護士ジュニョンが、一発大当てを狙ってこの事件の再審請求をするという難問に挑むのですが、はじめの動機はとっても不純で人としてどうかと思うレベルで、ああいう悪徳弁護士も実際にその辺にいそうですが、犯人にされて人生を奪われた青年ヒョヌと母親のこれまでの苦しみを知り、事件をひとつひとつ検証していくうちに、お金や成功のためでなく、ヒョヌの尊厳を守るため、そして不正義がまかり通る腐った現実を法によって裁き真実を追求するために闘い変わっていくところが熱いんですよね。

ありもしない罪を着せられ、誰にも信じてもらえず、貧しさや学のなさにも付け込まれ見下され、理不尽に暴力を振るわれて心の奥深くまで傷ついた青年をカン・ハヌルが見事に演じています。
イケメン俳優だけど顔だけじゃない!
詩人 尹東柱を演じた作品でもそうでしたが、心の機微を繊細に表現し、人物に深みを持たせて演じられる役者だと思います。

そして、「ビューティ インサイド」で起きたら姿形が変わってしまう主人公の友達でビジネスパートナーを演じてたイ・ドンフィが、またまた主人公の友達であり同僚の弁護士という役で出てて、かなりの存在感です。
「コンフィデンシャル 共助」や「お嬢さん」「ベテラン」にも出てたの気付かなかった…。

この作品、どこまでが実話にそくしてて、どこまでがフィクションなのかわからないけど、大泉洋…ではなくてチョン・ウがメインで出てくる弁護士パートはコメディタッチで描かれていて、でも警察のむちゃくちゃな捜査や事件の真相解明はノワールな雰囲気で、メリハリもあっておもしろかったです。
あの事件のあった深夜の五叉路も凄惨な事件現場の嫌な雰囲気が醸し出されていて良かったです。

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