逃げるし恥だし役立たず

リバーズ・エッジの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
3.0
工場プラントに臨む河口近くの或る街で、女子高生の二階堂ふみ(若草ハルナ)は恋人の上杉柊平(観音崎)にイジメられているゲイの同級生・吉沢亮(山田一郎)を助けた事から彼が河川敷に隠している秘密の宝物を共有する。もう一人の宝物を共有するモデルで摂食障害のSUMIRE(後輩こずえ)との三人が漠然とした連帯感で結ばれていく青春群像劇。1993年に雑誌「CUTiE」で連載されていた岡崎京子の実写映画化。
セイタカアワダチソウに表現される成長する事に疲れ切った日本に漂う閉塞感、生きる実感を無くした若者達を青春や性や死から描いた物語。死体という無の存在を得て生きる事を実感する吉沢亮、大量消費社会に身を置き生にも死にも無関心を振る舞うSUMIRE、其の二人に共感することなく何となく繋がる二階堂ふみの三人の曖昧な連帯、過剰な暴力でしか生を実感出来ない上杉柊平、一方通行の狂信的な愛を注ぐ森川葵(田島カンナ)、刹那的に肉体関係を重ねる土居志央梨(小山ルミ)ら其々の事情を抱えた少年少女たちの危うい関係が沸点に達したと同時にラストを迎える。映像や演技、撮影や編集や構成から概ね作品の完成度は高いのだが、群像劇に不可欠な人物描写を不自然なインタビュー形式で済ます処に違和感があり、必要であれば観音崎の友人達の釣りの最中に語らせれば良かったと思う。また平成初期の原作を平成の終わりに映像化する事は、サブカルチャーとして共感するには時期を逸しており回顧するには早すぎるため理解し難い。平成と云うよりは昭和に近くて固定電話とか公衆電話とか最早時代劇であり何れだけ共感を得られるか不安である。
キラキラとした青春譚を期待していたのだが…ニャンコが可哀想で、二階堂ふみの裸のバランスが何処か残念で、美人が吐くよりブスが食べる方が汚いといった記憶しか残らなかった。