ピちゃん

リバーズ・エッジのピちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

過去鑑賞作品。

僕はあの人がいるだけでいいんだ
あの人がいて僕がいて
僕はあの人を見ることができる
それだけでいいんだ

僕は生きてる田島さんより
死んでしまった田島さんのほうが好きだ
生きてる間にもっと好きになってあげられたらよかったのにね

山田くんの好きな人と好きでない人への言葉、残酷にもこんなに違うんだね。でも山田くんの気持ち、すごく分かる。好きな人、美しいモノは、見ることができるだけで幸せだよね。存在自体が幸せを与えてくれるの。そして、どうしても好きになれなかった相手もいる。好きになりたくてもなれない。相手が死んだらさ、その葛藤から少し解放されたんじゃない?幽霊で出てくるみたいだけど、死んでから、はじめて田島さんのこと存在として認識したんだろうな。
田島さんが死んだ時の、山田くんの表情、怖かった。悲しそうに笑うあの不気味すぎる表情。息を呑むほど美しい顔の吉沢亮は適役だと思った。素晴らしかった。

そんな山田くんを虐めていた観音崎くん。愛着障害。愛されたことがないから、愛し方が分からない。暴力SEX薬物でしか、生を感じられない。とても可哀想。上杉柊平、本当にかっこいいね。スタイル抜群。

観音崎くんの彼女、ハルナ。
何に対しても無関心。心ここに在らずって感じ。惰性で生きてるところが魅力的。つまんなそうなSEXするし、白骨化死体みても無表情だし、めんどくさいから授業サボってるし。そんな彼女なのに、山田くんを一生懸命助けたり、猫の死に直面して号泣したり。意外と感情で動く一面があって、彼女に惹きつけられてしまう。本当はとっても優しい女の子。観音崎くんの彼女でいたのも、好きだからじゃなくて優しさ故なんだろうね。

ハルナの友達、ルミ。
ルミ、私が1番感情移入した子。抱きしめてあげたい。観音崎くんの彼女と自分の扱い、全く違うよね。所詮セフレの浮気相手ってそんなもん。彼が大切で大好きなのはハルナ。痛いほど分かってる。教室で観音崎くんが、ハルナに髪を切った方がいいか楽しそうに話す様子をルミが見つめてるシーン、心が痛くて泣きそうになった。ああ、そんなたわいもない話をしたくなる相手は、ハルナなんだよね。楽しそうに笑う観音崎くん。ちゃんと避妊してあげるほど大切にしてるのはハルナだもんね。ずっと強がってるルミが愛おしくて、自分と重ねてしまった。誰か本当に彼女を愛してあげてよ。ルミはきっとね、金も薬も本当は要らないんだよ。プライド高くて、強がってただけ。彼女が1番欲しかったのは、間違いなく愛なんだろうな。

世の中綺麗ぶって素敵ぶって楽しぶってるけどざけんじゃねぇよって
私にもないけどあんたらには逃げ道ないぞってざまあみろって
な〜んてね、フフ。

こずえのセリフ。印象に残った。世の中の全部が茶番に思える瞬間があるから。

山田くんは、恋愛対象ではないけどハルナが好きで、ハルナもまた山田くんをどこかで好きだったと思う。この2人の関係が寂しいのに羨ましい。ギブスンの詩。山田くんって粋な愛の伝え方をする人だね、素敵。

この街は
悪疫のときにあって
僕らの短い永遠を知っていた
僕らの短い永遠
僕らの愛
僕らの愛は知っていた
街場レヴェルの
のっぺりした壁を
僕らの愛は知っていた
沈黙の周波数を
僕らの愛は知っていた
平坦な戦場を
僕らは現場担当者となった
格子を
解読しようとした
相転移して新たな
配置になるために
深い亀裂をパトロールするために
流れをマップするために
落ち葉を見るがいい
涸れた噴水を
めぐること
平坦な戦場で
僕らが生き延びること