近藤真弥

リバーズ・エッジの近藤真弥のレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
2.5
90年代という時代の空気や、そこに忍び寄る閉塞感と焦燥は見事に描かれていた。“映画の出来”だけを見れば、目立つ粗はないと思う。

一方で、その閉塞感と焦燥を今の若者に重ねようとする意図は、微妙とも感じた。仕事で接する若者(ここでは20歳以下を想定しています)や、さまざまな量的/質的調査を見るかぎり、今の若者は閉塞感と焦燥は承知のうえで、やれることをやるというクレバーな姿勢が目立つんですよね。そこに本作のような殺伐とした感情はない。リアルタイムの世代(とその世代の文化に影響を受けた一部の若者)には受け入れられ、さまざまな議論も起こるだろうけど、それはコップの中の嵐みたいなものになりそうな気がする。こうしたズレは、主人公はハルナなのに、予告編で「僕らは大人になる」という言葉を入れてしまうことからも窺える。この予想が当たるかも含め、公開が楽しみです。
近藤真弥

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