コミックの映像化としては申し分ない。
ほとんど文学の文脈で評価されている原作にもかなり忠実だし、スタンダードサイズの画面やインタビューの挿入といった古くさい演出も、〝あの時代〟の皮膚感覚や気分をうまく再現しているとは思う。
でも自分には〝映画〟として感じられるものが少ないなと感じた。
良いなと思ったところはすべて原作の良いところだったから。
映画そのものよりも、原作で読んだあのシーンやあのセリフが実写になっているという感慨の方が勝ってしまった。
〝実写化作品〟じゃなくて「リバーズ・エッジ」というひとつの〝映画〟が観たかったのが正直なところだ。
二階堂ふみさんも頑張っていたし（全裸にはびっくりした）、吉沢亮くんも思った以上に〝山田〟だった。
他のキャスト陣もほぼほぼ完璧だったと思う。それはあくまで〝実写化映画〟としてのルックという点においては。
でもやっぱりこの物語は登場人物と同じ年齢年代の役者に演じてもらいたかった。
できれば、まだ何色にも染まっていない〝無名〟といわれる役者に。
オザケンの曲は主題歌であって主題歌ではなく、岡崎京子だけに向けられたものだった。
