Binchois

リバーズ・エッジのBinchoisのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
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死の薫りに魅せられつつも、生の実感を得ようともがく、メメント・モリを地で行くような生き様を見せつけられた。
キャスティングはまさに適材適所。特にSUMIREの怪演にビビった。あの生気のない演技は、素なのか努力の産物なのか。
性と暴力を躊躇なく描きながらも、単なるセンセーションで終わらせない、(おそらく)岡崎京子の虚ろな世界が具現化されている。
お目当ての森川葵も好演。甲高い声で中身のない言葉をまくしたてた後で、怨念と狂気を溜め込んだ瞳を光らせる。作品内での演じ分けがとても巧い。

一部のメディアでは、二階堂ふみの初ヌードが取りざたされた。脱ぐ=女優魂などという考えは旧弊かもしれないが、ここで彼女が見せる意義はさほど感じられなかった。もしも制作サイドがそれを集客のネタにしていたとしたら、やや姑息かと。
これは個人的な嗜好だが、最後に希望をそっと置いてしまうところに、「やっぱり日本映画だな…」と少々がっかりしてしまう。韓国のシバラマ系映画のように、徹頭徹尾絶望を押し通す邦画を観てみたいものだ。
オザケンは原作者と仲良いのか
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