ミヤザキタケル

エターナルのミヤザキタケルのレビュー・感想・評価

エターナル(2016年製作の映画)
3.7
エターナル
2/16公開ですが 一足早くレビュー。

証券会社で支店長として働くカン・ジェフン(イ・ビョンホン)は、子どもの将来のために英語教育を学ばせようと妻 スジン(コン・ヒョジン)と息子をシドニーに住まわせ自分は韓国で一人働き続けていた。
2年間の留学期間も残り僅かとなったある日、会社が膨大な不良債権を出し破綻してしまう。
社会的地位も信用も失い追い詰められていく中、何も持たずスーツのままシドニーへと旅立つジェフン。
すぐさま家族の暮らす家を訪ねるが、見知らぬ男と親しげに接しているスジンの姿を目撃してしまうのであった。
多くを失った男が目の当たりにする真実を通し、誰もが見落としがちな幸福の在り処を描いた作品だ。

液体金属のターミネーター
ナイフ使いの暗殺者
極悪非道な詐欺師
独立運動団体のリーダー
近年、人ならざる者や裏社会の住人ばかり演じ続けてきたイ・ビョンホン
そんな彼がごく普通の一般人を、それもドン底の一歩手前にいる男を演じる

数多の理不尽を抱えるも処理することができず、心の拠り所となるべく家族は異国の地
罵声や怒号を浴び続け、頼れるのは酒と精神安定剤のみ
ただひたすら苦しみに耐え続ける姿は、ぼくやあなたと同じ一人の弱い人間であった
イ・ビョンホンが本来持つ格好良さは、完膚無きまでに掻き消されていた
この作品は人の心をとても大事に描いていくのだと、ド頭からすぐに信じることができた。

何事も当たり前だと思っている内は、本当の価値に中々気が付けない
壊れて 失って 取り返しがつかなくなって 後悔して、初めて気が付けることばかり
利口な人ならばそんなことは無いのかもしれないが、きっと多くの人が間違える
少なくともぼくはそう
あなたはどうだろう

会社の破綻と共に多くを失ったことで、2年間放置してきた家族の存在に目を向け始めるジェフン
そのありがたみにようやく気が付くも、既に手遅れ
離れて暮らしていても通じ合っているなんて、ろくに言葉も交わしちゃいないのに理解し合っているなんて願望でしかない
揺らぐことのない確かな愛が無ければ成立しないし、家族を蔑ろにしてきた代償は支払わなければならない。

スジンが隣人のクリス(ジャック・キャンベル)と仲睦まじく接している現場を目撃するも、その場から逃げ出してしまうジェフン
乗り込んで問い詰めることもできたが、彼はそれをしない
原因を作ったのが自分だと理解していたのと同時に、怒りよりも悲しみの方が勝っていた
その結果、当てもなくシドニーの街を彷徨い続ける
そんな中で新たに出会う人・人・人
以前の彼であれば関わり合いになどならなかった者達
それと同様、ぼくもあなたも日頃多くのことを見落としながら生きている
自分に都合の良いことにしか目を向けていない

同じだけの痛みや悲しみを知る者で無ければ分かち合えないことがある
同じだけの志や目標が無ければ共に歩めないこともある
世の中全ての人間が理解し合えたら最高にステキだけど、それはとても難しい
何かしらの共通認識が無ければ、理解など出来やしない
どこの誰かも分からぬ他人と理解し合おうなんて端から思わない
その道理を心得ているにも関わらず、大事な人とさえ理解できなくなっていくのが人間
理解して貰えると高を括り、いつの間にやら理解し合えぬ関係性へと成り下がる。

何がいけなかったのか どこで間違えたのか
何をどうすれば戻れるのか
元々何があって、一体何を失ってしまったのか
ひとつひとつの後悔を噛み締め、ジェフンは妻と息子を見守り続ける
そんな彼の繊細さを目の当たりにし、何度も何度も胸を締め付けられた

どういった方向性へ物語が進むのか予め読めたつもりでいた
が、全くの想定外な方向へと話は進む
そんなラストもありだけど、もっとシンプルに終わりを迎えても良かったんじゃないだろうか
観る側の汲み取る心が長けていなければ、若干の置いてきぼりを喰らいかねない
脚本的には間違い無く辻褄があっているしスゴいのは確かなんだけれど、それまでとても骨太な人間模様を描けていたのだからそのまま突き進んで欲しかった
不安定で いつ壊れてもおかしくなくて 常に消えてしまいそうだけど、確かな愛が彼らの間にはあったと思う
その小さな小さな灯火で、最後の最後まで観客の心を照らしていて欲しかった。

分かっていたって人は間違える
今在る大切なモノだって蔑ろにしてしまう
いつの間にか願いが呪いにだって変わってしまう
だからこそ、ふと立ち止まる瞬間の大切さを
今身近にある全てのモノは、理由があってそこに在るのだということをこの作品は示していた
ラストの展開で好みが別れる作品ですが、とてもステキな作品でした

ネタバレはしてません、ぜひ劇場でご覧ください。
イ・ビョンホン、やっぱりカッケー!

青春★★★
恋 ★
エロ★★
サスペンス★★★
ファンタジー★★★
総合評価:B