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死んだってへっちゃらさのpherimのレビュー・感想・評価

死んだってへっちゃらさ(1990年製作の映画)
4.1
闘鶏で荒稼ぎする黒人二人、クレール・ドゥニ1990年作。パリ郊外の渇き荒んだ裏町の、移民入り乱れる賭場描写の鮮烈。アフリカ本土とカリブという二人の出自が気構えの差異となる構図を、フランツ・ファノン交え語る大寺眞輔講義にも感銘。新文芸坐シネマテーク企画上映。

くたびれた裏町に露出する崇高、とでも言うべきか『死んだってへっちゃらさ』の闘鶏場面に横溢する異様な生のエネルギーと、古いカラー映像特有の猥雑感の混濁具合に圧倒され通しの一時間半作品。ストレートにシンプルに駆け抜けさせるために仕組まれた網目の巧緻が余韻の内で解きほぐされゆく充足感。
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