秋日和

夜の浜辺でひとりの秋日和のレビュー・感想・評価

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)
3.5
一人ぼっちの映画なのだから、一人ぼっちでいるところだけを映せば良いというわけでは勿論ない。誰がどこにいて、どんな状況にいるのかを濃やかに切り取ってきたホン・サンスは、「一人ぼっちの捉え方」を誰よりも知っている監督だと思う。
誰か(集団)といた方が、より深く、色濃く孤独が滲み出るときがある。いつものカフェで、窓の向こうを歩く二人組を見つめるキム・ミニのカットが正直に寂しさを告白していた。「あちらは二人組だけど、こっちは二人一緒にいても二人組じゃないの」、みたいな。
一人ぼっちでいるショットは、誰かといるときよりも寧ろ救いがあるように思えたのが不思議で、ホン・サンスにとって海辺(浜辺)ってどんな場所なんだろうな?とちょっとだけ過去作に思いを馳せたりもした。これからの人生で、もしかしたら全く接することのない人が、不意に手を差しのべてくれるかもしれない場所。そこが仄かに希望を感じさせてくれて嬉しかった。
それでも、いつも以上に乾杯のグラス音はからりと乾いていて、ああやっぱり一人ぼっちに変わりはないのかなとしゅんとした。