秋日和

蜂の巣の子供たちの秋日和のレビュー・感想・評価

蜂の巣の子供たち(1948年製作の映画)
4.5
実際の戦争孤児たちをキャスティングし、小津が決してカメラを向けようとしなかった生々しい戦争の痕跡を捉えた本作は決してほのぼのとした映画ではない。栄養失調の問題や親/子の死を扱っているし、登場人物の中には片脚のない大人もいる。とても厳しい。けれど、『蜂の巣の子供たち』ほど温かな映画もあまりない、というのもまた事実だと思う。
本作の大きな特徴かもしれないと観ていて感じたのは、集団と個(或いは少人数)が対面し、そして集団が個を迎え入れるという展開の反復。冒頭に記述したように、そもそも戦争孤児たち(=個の集団)を物語の中心に据えた映画なので当たり前といえば当たり前なのだけど、監督の清水宏は「一人ぼっちでいること」に対して人一倍敏感なんじゃないかなと思う。集団と個の区別がシッカリつくようにカットを割り、しかし決して突き放すような撮り方をしていない。譬えキアロスタミのような超ロングショットで子供たちを捉えたとしても、その眼差しは常に優しかった。劇中で登場する単語を使うならば監督の瞳を通して伝わってくる「愛情」に溢れた作品だと思う。なんだか今夜はぐっすり眠れそうです……。