こやち

歓びのトスカーナのこやちのレビュー・感想・評価

歓びのトスカーナ(2016年製作の映画)
3.8
まず前提としてイタリアには1999年から精神病院と言われる施設は無い。そのかわりに地域の精神保健センターが精神障害のある人の支援を行なっている。との事です。


ひたすら喋りまくりハタ迷惑な親切を押し付けるベアトリーチェ。それに翻弄されながらもいつしか受け入れていくドナテッラ。
普通と普通じゃないのの境目はどこ?何か病名が付けばふさわしい治療がされ投薬もされて症状も快方に向かうのかも知れない。向かわないかも知れない。
でも、ああいったグループホーム的な療養施設の存在価値はあの二人の出会いの様な、人との触れ合いがもたらすものかも知れない。いやしかし、ちょっと間違うと大惨事だったけれども。そこら辺は今もイタリアで試行錯誤なのかも知れない。地域によってその支援体制はかなり差があるらしいから。

ずっと待ち続けていたベアトリーチェ。ボロボロになっても帰り着いたドナテッラ。二人が少しでも幸せになれるといいな。

「ロングロングバケーション」の監督なんですね。なるほど。なかなか答えの出ない、それでも誰もが向かい合うことのあるだろう問題を考えさせます。
こやち

こやち