彼と最初に出会ったのは、地震で電車が止まり気分が悪くなった私に優しく声をかけてくれた時だった。歩いて会社へ行くと言った私に、履いていた靴を脱いで私に渡してくれた人。
母親に会わせようとした日、彼は来なくて家に来たのは警察だった。彼は蜘蛛膜下出血で倒れて、名前は偽造だった。働き先も何もかも。5年間一緒に暮らしていたのに、彼は誰ですか。
5年間ありふれた毎日を一緒に暮らすことと、相手の身元を知っているということと。何が相手を知るということなんだろう。
彼が知らずに書いていた小説をたどって瀬戸内に足跡を探しに旅に出る。少しずつ知ることになる彼の過去は、悲しい結末だった。時が止まったみたいなその場所からは、これまで知らなかった彼の日常がなだれ込んでくる。
ふと全部を知ったあとに、初めて気づく彼からみた私。本当の彼を見つけた後に見る彼の顔は、どんな顔。
高橋一生くんと長澤まさみちゃんの彼氏感と彼女感、両方最強だ。一生くんて声も良いんだな。今更改めて。
なんの予備知識もなくみたけれど、そんなに悪くなかったな。