YuukiImazu

顔のない眼のYuukiImazuのレビュー・感想・評価

顔のない眼(1959年製作の映画)
3.7
病院や外科手術を取り入れたホラーとして、本作は元祖らしい。59年の古い作品ながら、女性の顔面にメスを入れ、皮膚と内側の接着面を削ぎながら、顔を剥ぎ取る場面のクオリティの高さには驚かされる。なかなかに過激なスプラッター描写やサイコスリラーのテイストには素直に恐ろしさを覚える内容やね。

ところが、映画の印象として先行するのは、切なく美しいホラーってところ。『愛が人を盲目にする』、という言葉はよく聞く。まさに本作はそれで、『絶望の中で苦しむ娘を救ってやりたい』、という親心が倫理や道徳から逸脱した行為に人を走らせる。普遍的な愛が、本作の恐ろしい行動原理として如実に表されてるので、全肯定できないまでも憐れみを感じちゃいますねぇ。

光と影のコントラストや間の使い方がゴシック的な雰囲気を醸し出し、不気味さと美しさが混在する映像には心酔しちまう。世間から隔絶されていた女の子が外の世界を彷徨い歩く姿は幻想的で、まるで不思議の国に迷い込んだアリスのよう。この終盤のシークエンスが、本作の切なさや美しさを決定づけますね。