わだげんた

心と体とのわだげんたのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
4.0
芝浦屠場に見学に行ったことがあります。

都心のど真ん中に屠場があるって、知らない人も多いと思うんですが、僕も知らなかったです。あるきっかけで、見学に行けることになって初めて知りました。

現場の見学をした後に、働く方々に質問タイムがあって、どうしてこの仕事についたのか。楽しいことは? 辛いことは? こだわってることは? などさまざまな質問が参加者から出ました。

辛いのはやっぱり心無いことを言う人たちがいること、と言うのが印象的でした。

この映画には屠殺シーンが出てきます。その行程は見学したのと同様で、オートマチック化された行程は世界共通なんだな、と思いました。

また、劇中、屠場への就職希望者へのアドバイスとして、「この仕事をしていると病む事がある」と言ってるシーンがあって、屠場で働く人の心の動きも共通なんだな、と思いました。

この映画は屠場で働く人々の描写から始まります。

片腕が不自由なエンドレ。彼は屠場で管理職として働いている。そんなある日、見知らぬ従業員が。彼女はマーリア。コミュニケーションが苦手で、規則を曲げることができない頑なな性格。

エンドレとマーリアは上司と部下の関係でしかなかったが、ある日不思議な共通点に気づく。

二人は全く同じ夢を見ていたのだ。

それは二頭の鹿が森を彷徨う夢。

一匹はエンドレの分身。
一匹はマーリアの分身。

どうして二人は同じ夢を観るのか。
その夢の意味は?

そして、同じ夢を観る二人の関係はどうなっていくのか???

ってお話。

言ってしまえば、ラブストーリーなのかもしれないけれど、イビツな二人の関係は辛くもあり、キツすぎて笑いすら起きる。

ハンガリー映画はあまり馴染みがないってこともあるけれど、今まで観た映画にはない、不思議な感覚の作品でした。

劇中に出てくるある曲が、やけに染みます。その曲はマーリアがCDショップの店員から勧められる曲なんですが、マーリアと店員のやり取りがとってもいいシーンなんです。

それと、マーリアのスマホの着信音、やけに耳に残る(笑)

地味な感じの作品だったので、空いてるかな、と思って出掛けたらほぼ満席でした。 公開館が少ないからってのもあるでしょうけど。

観終わったあと、ぴあの出口調査を受けて、結構語っちゃいました(笑)
わだげんた

わだげんた