人生にツヤを失った管理職のおじさんと、コミュ症の成人女性との、ハンガリーのブダペスト郊外を舞台にした“鹿で会いましょう”的な幻想ロマンス。
なにやら大層な印象に見えて、雑に言ってしまえば“付き合う手前が一番ドキドキするよね”という、いや、なんなら『心と体と』のタイトルのようなもっと元も子もないような男女の事を描いただけなところも含めてとてもチャーミングな作品だった。
イルディコー・エニェディ監督がとても豊かな想像力で描く雪山の鹿デートの異常なクオリティの高さと、厳粛さ。
ぶっ飛んだキュートさと大人の現実の入り混じる不思議な空気がとても良かったなあ、あれなんだろうね男性監督とは違う別のところを拾いあげてる感じなのかな。
とりあえず今の所、今年のベストヒロイン。
真っ直ぐってレベルじゃない。笑
これだけ幻想的なのにラストの現実の素っ気なさが、そんなものだと言ったらそうなんだけど、なんともまあ…。
恋愛での幻想というのは厄介なものだけど、しかし何か共通の幻想が1つぐらいなければこれまた続かないのではないかとも思う。