牝鹿を振り返り歩み寄る牡鹿、静まりかえる森、夢の中。
体を固定され、食肉へと処理されていく牛たち、現実。
人との交流が得意ではない不器用で精密機械のような若い女性と職場の上司でかなり年の離れた男性が、夢の中で行き来、現実ですれ違いながら・・。
話の内容は起伏に富んでいる訳でもないのですが、鹿が現われる冒頭の美しい場面から最後まで不思議な感覚に囚われる作品でした。
あの時こう言っていれば違う展開になっていたのでは、あの人は何故あんなことを言ったのか、多かれ少なかれ皆経験があること、それを思い出す場面が随所に。
女性マーリアを演じる女優の一点を見つめる目、色の白さ、表情のなさ、ぎこちなさが強く印象に残ります。
何とも表現のしづらい良い余韻のため、次に観る映画の選択に悩みます。
(メモ:美しい光景は東山魁夷の絵を想起、CD・携帯の購入、公園のスプリンクラー、ぬいぐるみ、バスタブ、神秘・悲哀・滑稽の混ざり合い)