あでゆ

スキン~あなたに触らせて~のあでゆのレビュー・感想・評価

2.1
身体の欠損など、健常者と異なる容姿を持つ人々にとって、この世で生きることは決して楽じゃない。冷たい現実や世の中との距離感を描く。

劇中の色使いの大部分を占めるピンクは、同じスペイン映画の『マジカル・ガール』を思い出す。群像劇的な冒頭から徐々に物語が収束していくところも本作は『マジカル・ガール』と似通っており、スペイン映画の傾向を感じさせる。
ピンクの他にもキャラクターによっては紫などが強調されるが、共通してパステルカラーの色使いが美しい。

口が肛門の女、自分を人魚だと思いこんでいる男、目がない女など、とにかく奇人博覧会的に様々なキャラクターが出てくる本作。はっきり言ってめちゃくちゃ気持ち悪い奴らばっかりなんだけど、ギリギリのところで嫌悪感を抱かないのは、本作が狙って気を使っているところだと思う。
テーマ的な部分に関しては多様性や見た目で判断するなといったようなよくあるところだが、映像的なインパクトが強いのでまあまあ楽しめる。

物語としてラストにうまく収めた感はあるが、結局の所死人は出てしまったし、根本的な問題があまり解決できていない。特に、肛門女の行く末は、男のほうが奇人を見た目だけで選んでいることに変わりないため、作品のメッセージからしてもどうなんだ感が強い。
尺は短めなので、変な映画が観たいときには観てもいいかもしれない。
あでゆ

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