きょんちゃみ

エクソシスト3: レギオン(原題)のきょんちゃみのレビュー・感想・評価

5.0
生涯ベスト映画。
こんなに面白い映画久しぶりに見ました。

『エクソシスト』よりさらに面白いと思う。ほんとにすごい。

さすがウィリアム・ピーター・ブラッディ原作。『ザ・フライ』について言及されてて笑った。

以前から本当にすごい作品だと噂だけは聞いていたが、まさかこれほどとは思わなかった。完璧。

『マクベス』というシェイクスピアの作品を愛する人道主義的無神論者の哲学的刑事と、『タイタス・アンドロニカス』というシェイクスピアの作品を愛するサタンが対決する作品である。

英語版のウィキペディアにはビルのことをphilosophical lieutenant って書いてあったから、多分この解釈はそれほど逸脱してない。

序盤の懺悔室の老婆がすごい。

物語中盤の夢の中の駅舎シーンは凄すぎる。火星と交信してる人とか出てくる。ビルの無意識の表象なんだろう。

終盤30分は、もはや拍手を贈りたくなるようなシーンの連続だった。

天井を四つ足で歩く老婆や、切断されかけるジュリーの首のシーン。

哲学的刑事が、すべての悪を信じると誓うことによって神の光が差すシーンも素晴らしい。

モーニング神父とサタンの対決シーンは、聖書が爆発したり、皮膚がはがれたり、大蛇が業火の中に大量発生したり、突然地面が裂けて亡者たちの群れが出現したり、俺が見たいものがすべて見せてくれる。

俺の好きなセリフはこれ。

Father, everything is relative.
神父様。すべてのものは相対的で、人それぞれだと思うんですよ。

Is it?
へぇ。そうかい。

Or....maybe not.
いや、もしかしたら違うかも。

それにしても素晴らしい映画。
絶対に見たほうがいい。

この映画は悪魔を作ったのも神なのだということがキーポイントになっている。悪魔を作ったのも神なのだから、悪魔にもそれなりの存在意義とキリスト教的な機能があるはずなのである。その機能とは、人々にキリスト教を自分に都合よく利用させるのではなく、むしろ不条理なもの、非合理なものまで神が作ったものとして受け入れさせること、つまり、人々の信仰心を高めるという機能である。自分を含め、世界があまりにも腐っているということをまずは認めないと、そんな汚物をも愛してくれる神の愛を認めたことにはならないのである。悪魔は、神の作りし世界のなかに、人間の頭には不都合に思えるような不合理なものがあるということを受け入れさせようとしており、それを受け入れさせることによって結果的に、自分に都合よく神の愛が振りまかれるという信念を打ち砕いているのだ。
きょんちゃみ

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