小一郎

わさびの小一郎のレビュー・感想・評価

わさび(2016年製作の映画)
3.9
渋谷のユーロスペースで「映画監督外山文治短編作品集」(『此の岸のこと』『わさび』『春なれや』)というタイトルのレイトショーが3週間あり最終日に鑑賞。

オジサン? おじいさん?みたいな名前の監督だけど実は現在37歳。老いや病に苦しむ人に寄り添い、応援したいという、監督の優しい人柄を思わせる短編集。

主演はNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の芳根京子さんで、富田靖子さん、下條アトムさんも出演している。キャストのブッキング、配給、宣伝なども監督一人で手掛けたらしい。

妻と離婚し、心の病を抱えている父を守るため、卒業後、実家の寿司屋を継ぐことを
決めた女子高生の山野葵。離婚した母、担任の先生などは反対はするものの、だからといってどうすることもできないからか、深く立ち入らない。

本当は学校に通ってソフトボールを続けたい葵は、寿司屋を背負うことに加え、父の面倒をみることが心の負担となり、強気の表向きとは裏腹に、葛藤している。そんなとき葵が少年野球チームに所属していたときの監督が現れる。ある事情で小指のない監督が投げるボールを魔法だと思っていた葵は、魔法の力を借りてまた一歩踏み出そうと、勝負を願い出る。

劇的な展開はないけれど、3作の中では一番しんみりする作品。ちょっと意地っ張りで、辛い気持ちを隠し、自分のやりたいことを我慢している葵。でも本当は泣き出したい気持ちでいっぱい。

そんな追い込まれたときだからこそ、些細なことが生きる力を与えてくれるのかもしれない。監督に力をもらった葵が父を思いやり、父もまた葵を思いやる。きっと泣ける人が多いと思う。

●物語(50%×4.0):2.00
・良い方のベタ。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・芳根京子さんのツンデレ感がなかなか。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・小雪の舞うグランドのシーンは狙ったのかな。それとも持ってる?