KHinoji

わさびのKHinojiのレビュー・感想・評価

わさび(2016年製作の映画)
3.9
映画「累 かさね」鑑賞記念に、出演していた 芳根京子 さんが主演しているこの短編映画を見てみました(レンタルDVDでですが)。
約30分の短編映画です。

お寿司屋さんの娘、高3のJKが主人公。
わさびは、大人になってから食べるもの、ってことでこの映画のテーマは子供から大人になる時期の青春ドラマということになります。大人への通過儀礼の物語ですね。
また、主人公の名前も、山野葵(やまのあおい)。(本編中にセリフで説明があるとおり) 山に葵で漢字の「わさび」なわけです。主人公の名前と掛けているわけですね。

家庭事情(親は離婚、父はうつ病)と地域の事情(良い就職口なんてない)で苦境に立たされている主人公、真面目ないわゆる頑張り屋さんの良い子であるが故に自分ひとりでアレコレと抱え込んでしまい、本音では現実に不満だらけになっていく日々。
でもちょっとしたきっかけから自分の将来に決断をし、少しだけ大人になっていく姿が描かれています。

淡々としたちょっとしたエピソードの繰り返しという形で、主人公の内面をどんどん深く描きだしていくところとか、演出・脚本はたいへん旨いと思います。せつない。

芳根京子さんファンの方なら、短編とはいえ必見の一作でしょう。JKセーラー服姿も沢山見ることが出来ますしね。
なお撮影は、某朝ドラのヒロインに選出される前だったそうです。

そうそう、離婚した母親の役は富田ヤッコさん、相変わらず良いおばさん役してますね。

ps.
あと、うつ病の原因にはいろいろとありますので、心の病気と言われる場合もあります。(ってことも理解した上で、離婚した父をバカにされたくないので、葵は母親にあえて反論した、、、という脚本かもしれません)

ps.2 (書き忘れていたので追記)
それに、生活保護家庭だと大学に進学できないという決まりもありません。現実的には費用などの面で厳しいということからでしょう。これも分かった上で(所詮は他人でしかない)先生への反発心の表現でしょう。


(DVDタイトルは「わさび/春なれや」ですが、『此の岸のこと』も収録された3作品で1枚のDVDになっています)
(2018/9 レンタルDVDにて)
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