ゆっけ

春なれやのゆっけのレビュー・感想・評価

春なれや(2016年製作の映画)
4.5
『映画監督外山文治短編集』8/26より渋谷ユーロスペースで上映。

『わさび』『春なれや』『此の岸のこと』
短編3作品が上映されます。

こちら、自分昨年より追っかけて取材等させてもらってますが、ぜひ映画好きに観て欲しい作品です。(その理由を少し以下にまとめます)

①キャストが超豪華!

『わさび』朝ドラヒロインとして国民的女優になる前の芳根京子が主演。

『春なれや』は、日本を代表する名女優、吉行和子と、若手で今映画界引っ張りだこの俳優・村上虹郎。『恋人たち』で「日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞した篠原篤も共演。

監督の先見性の良さがキャスティングからわかります。みなさん、多くを語らない、自然な演技で見ていて本当に心地いい。芳根京子、村上虹郎ファンならまず必見です。村上虹郎くんの自転車二人乗りが見られますよ。”マジっす”(あと、吉行さんの可愛くて萌えますw)

②音楽が素晴らしい

監督は、映画を作った後に曲を載せるのではなく、まだ撮影していない段階のロケハン段階から撮影場所の写真や、役者のリハーサルに音楽家にも参加させて、曲を作っていく方法を取っています。

だからこそ、作曲家が映像よりもいい音楽を作ろうと妥協しない、思いもしない良いものが出来上がる。多様な価値観やその人の技術や才能を認め合うからこそ、出来上がる奇跡のような映画だと思います。面白いです。

そのあたりについては、以下取材記事へ。
→何気なく耳にしている映画音楽、どう作られている?「音楽家との出会いはヒロイン選びと同じくらい大切」
https://filmaga.filmarks.com/articles/1414/

③主題歌がなんと!アーティストCoccoが提供

『春なれや』の主題歌「Time」という曲です。
Coccoの力強さと優しさが映画と非常にマッチしています。

④とにかく、綺麗な映像と心の琴線に触れる繊細なストーリー

良い意味で日本映画らしさがある、とても繊細な映画です。「わさび」「さくら」どちらも日本的なものですが、少しツーンとする悲しさ(苦味)や、すぐに散ってしまう儚さを効果的に、わざとらしくなく描いています。

海外でも高く評価されたそうですが、日本人が観たら、日本の良さや日本人の良さが感じられる、心が温かくなる優しい映画だと思うかと思います。

⑤実は3番目の『此の岸のこと』が一番心に残る、、、

あまり、言いません。ちょっと前の2作品と比べてみると衝撃を受けるかもしれません。テイストが違うというか、台詞が全くないので。不思議な気持ちがする映画ですが、なぜだかひきつけられる、後をひくような映画です。

⑥なんとこれが、自主制作。外山監督の人望と力量

製作、配給、宣伝も全て監督ひとり(脚本も)
そして、

映画は、どうしても昔からの配給会社や興行会社が経営する映画館が強いかもしれませんが、
これからの映画って、もっと業界以外の人も応援できる仕組みが必要なんじゃないかと思います。

映画が好きで、映画愛を持っている人が、もっと良い作品を作るクリエイターの人を応援して、さらに映画を愛する人を増やす循環。

どんなに小さなことでも自分が好きな映画の製作に携わったり、周りの人にその良さを知って欲しくて宣伝したりして、その映画と「つながり」ができるとなんだか嬉しい気持ちになります。

業界に「一矢報いる」ことをした監督に拍手。

→「今まで光が当たらなかった人にも希望を」『春なれや』外山文治監督インタビュー
https://filmaga.filmarks.com/articles/816