キンタロー雨

春なれやのキンタロー雨のレビュー・感想・評価

春なれや(2016年製作の映画)
3.5
「ソメイヨシノは60年咲くことができない」
60年前に植えた桜が咲いているか確かめるために、
一人で施設を抜け出した高齢の女性。
青年に案内を頼み、桜を植えた場所を目指す。

20分弱の短編。
心地よいピアノの音楽、咲き誇る桜並木、
そして和やかな二人の会話。温かい。

施設でこのまま一生を終える。
ただなんとなく同じ町で生きている。
でも勇気を出して一歩踏み出せば、
悲しい現実が待っているかもしれないが、
その一歩に人生を救われることだってある。
人生に宿命なんてない。
あなたの選択と勇気次第で変われるのだ。

「認知症」という言葉は出てこないし、
女性と青年は普通に会話しているのに、
冒頭で保護した警官の「徘徊」という言葉に、
私たちは無意識に女性を「認知症」と思い込む。
本人の言動よりも、他人の言葉を信用する。
徘徊や問題行動といった私たち目線の言葉。
「認知症かも」というだけで緩む言葉や態度。
根深くかつ残酷な偏見がここにある。