もるがな

映画ドラえもん 新のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜のもるがなのレビュー・感想・評価

3.7
新ドラの鉄人兵団リメイク映画。

オリジナルの鉄人兵団にあった侵略的なゾワゾワとした怖さが薄れているものの、今作はハリウッドスペクタクルともでも言うべき骨太のエンタメ作品へと仕上がっている。この辺は旧作と新作で好みが分かれる部分ではあるが、単なる後追いではなく、リメイクならではの新境地をしっかりと打ち出してきたのは好感が持てる。

旧作ではリルルを軸とした人間とロボットの二項対立を描いているわけだが、新作では、原作では少ししか触れられなかったロボットの階級社会をより練りこんで、人間社会の差別構造のアイロニーとしてアプローチを試みているのが非常に興味深く、階級制度が無くなっても差別が残っているというのはかなりリアルだった。この一点のみで旧作に迫る出来と言っても差し支えがない。

ミクロスの活躍が思いっきり削られていたのは旧作ファンとしては色々と思う所があるが、その代わりに旧作ではドラに人格を消去されて魔改造されたボーリング玉に過ぎなかったザンダクロスの頭脳に、ピッポという人格を持ったマスコットキャラクターとしての役割を与えた点は評価できるだろう。若干合理性に欠ける演出があり、賛否は分かれるかもだが、ピッポの存在でザンダクロスが単なる兵器でなくなった上に、ロボット側のバックボーンがより深く描かれたことは無視できない。

この作品以前のリメイクは追加部分が蛇足であり、お世辞にも良リメイクとは言えない出来だったが、今作は旧作と見比べる楽しみが生まれたという意味で価値のあるリメイク作品であると言えよう。

余談だが、警視庁特命係が出てきて笑ってしまった。テレ朝のお遊びが過ぎますぞw
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