イタリア映画祭2017にて鑑賞。
貧富格差を押し広げる仕組みを敷き続ける本丸に招き入れられた修道士の静かで強かな抵抗。社会への神の介入を問う宗教色強い問い掛けが窺える。信仰心がどの様に社会悪に立ち向かう術を持ち得るのか考えさせられた。
恐らくこの作品の結末は観る者の宗教観によってかなり違う色に映ると思う。自分は完全な無神論者だし、この作品でも揺るがない。極めて現実的な側面だけが強くアピールした。信仰心厚い者と聖職者…夫々が別々に、意図する、意図しないに拘らず、現実的な形で大きな社会問題に斬り込んでいった展開の妙には唸らされた。
このテーマにこのシチュエーションの組み合わせは飛んでもなく、巧みな脚本と映像威力も含めて、その仕上がりは離れ業的で、ただただ嘆息が出るほど。正しく映画祭向きな作品。
最近は、特に抑制の効いた演技が多いトニ・セルヴィッロならではの嵌まり役。