Aya

修道士は沈黙するのAyaのレビュー・感想・評価

修道士は沈黙する(2016年製作の映画)
3.3
#twcn

犯人はお前だー!!って話じゃない。

えっ?!この修道士「グレート・ビューティー」の財の限り欲を尽くしたおっさん?!どうしたいきなり?!

そんな俗世間からは一切足を洗ったような、おっさんは、ある銀行の有力者であり財務理事であり、世界の金を動かす力は世界一と言われるおっさん、ロシェの誕生日兼晩餐会&先行きが怪しい政策の財務相会合(一応国際首脳会議)のため、ドイツへ招かれる。

使われる言語は英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語。
大変ですw

招待されたお屋敷は広大で警備は厳重。
まあ屋敷の主は重度のアルツハイマーを患っており、記憶はおろか、会話すらおぼつかないのですが、金があるためきちんと介護士を雇って、きちんとした身なりをしています。

作家やエコノミスト、修道士にミュージシャンに大臣と人種もバラバラな多肢にわたるゲストたち。
「世の期待を裏切る我々がせめて幻想をお返ししよう」
とのロシェの考えのもと、集められた人々だった。

ロシェっておっさんが修道士のおっさんに告解を求めた次の日、なんと変死体で発見される。

ホストの側近や一部の本当に必要なゲストたちは緊急会議を開き、困ったことになった、なんであんな無関係の修道士を呼んだんだ?と議論を交わす。
何か裏があるよう。

そして、最後に一緒だった上、ICレコーダーで常に録音をしていた修道士にももちろん疑いの目は向くが、問題となるのは最後に修道士に話す告解自体を他言できないということ。

決定的な証拠はなく、逆に何か秘密を知っていそう!と皆が修道士に取り入ろうとする。

あるものは金にものをいわせ、あるものは脅しにかかる。
しかし修道士のその心と体は神に捧げたもの。
誰にもどうすることもできない。

この修道士の属するカルトジオ会とはカトリックの中でも戒律の厳しい一派。

そして捜査に当たる超絶マブい女性刑事!

しかし、修道士のことを素直に気にかける女性が1人いた。
彼女もこの会議には参加しているが部外者として扱われるデンマーク人の絵本作家。
同じ作家同士、部外者同士自由であると共に安全のためにお互いに気を配り、一つの絆ができる。

そして、死んだおっさんしか知り得ない、この会議の大切なキーになる一つの数式・・・。

ICレコーダーに録音されていた内容とは・・・。

修道士は貫きます。
金銭的に貧しき人々を食い物にし、私腹を肥やすこと、自身の名声を守ることしか頭にない、ここに集いし心貧しき金持ちたちを、神の言葉を借りて、神の御心によりお葬式で罰することを。

そしてそれは大衆の前で言葉でしか語られません。
これをざまあ!と取るか、あんな奴らもっとやっちゃってよ!と取るかに分かれるかも。

先に書いた通り、犯人はお前だー!という話では決してない。

ということは人が死んでるのに、何を主軸に・・・と言われたら結構困りますねw
まあ簡単に金持ちたちの右往左往です。

意外に修道士自体が動揺しておらず、終始飄々としているため、ロシェ自体の死に方は結構な死に方をしているのに、あまり深刻にならない映画。

レンタルに10分ほどの映像特典、日本に監督が来日した際のインタビューが入っていました。
とても良かったです。

各俳優をキャスティングした理由や、キャラクターや細かいシーンの解説まで結構詳しく話してくれる。

やはり、カトリックに根ざした映画だったのよう。
その意味でこの映画で重要な役割を果たす死んだおっさんが死ぬ前にした告解という行為を非常にシニカルに描いています。

この物語は現実にG8会議にアーティストや作家が参加していたことを着想として得たそう。
犬ちゃんや鳥ちゃんなどの動物の使い方やその意味についても言及されています。
そしてこの映画は修道士が1人で世界一の金銭的権力を持った人物に挑戦する西部劇としても楽しめる、とのことです。

機会のある方は是非この特典映像見たほうがいいです!



寺尾次郎
Aya

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