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いつだってやめられる 10人の怒れる教授たちのumisodachiのレビュー・感想・評価

4.1
安定ポストを得られず燻っている研究者たちが、合法ドラッグの製造で一発当てようとするコメディ『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』の続編。とはいえ、この一作目は日本劇場公開されなかったため、未見。今回の続編は、前作で逮捕された主人公に警察から与えられたミッションを描く。

合法ドラッグの製造で収監されている神経性物学者ピエトロは、警察から極秘ミッションを持ちかけられる。一向に収束の気配が見えない合法ドラッグ製造のいたちごっこを終わらせるため、合法ドラッグの摘発と成分解析を請け負ったのだ(報酬は放免)。ピエトロは、ミッション遂行のために世界中に散らばった研究者仲間を呼び戻し、極秘チームを結成。それぞれの頭脳を生かし、次々と成果を上げる彼らだったが、最大の犯罪組織まではなかなかたどり着けず……。

神経生物学者や化学者以外にも、マクロ経済学者、考古学者、文化人類学者、教会法学者、記号学者などあらゆる分野の研究者たちが活躍する痛快コメディ。研究者チームは全員冴えないおじさんだが、研究者としては超一流。とはいえ、国内になかなかポストがないために苦しい境遇に置かれている。ちなみに、この状況は日本でも同じ。せっかく苦労して研究者としての腕を磨いても、適切な正職につけずに他の仕事をしたり、国外に出ていく研究者は多い。

一作目を観ていないので、一瞬状況把握に戸惑うものの、数分でストーリーに追いつくことができるので問題ない。一旦本作の波にのってしまえば、あとは身を任せるだけでいい。とにかく、べらぼうに面白いのだ。

頭は良いが、コミュニケーション能力や身体能力に難あり研究者たちは、全員ひたすらにクセが強い。10人もいるのに、誰一人埋もれていないのは奇跡に近い。はっきりいってほとんど役に立っていない専門分野もあるのだが、そこはキャラの魅力でカバー。ゲラゲラと笑っているうちに、ストーリーはずんずん進んでいく。

クライマックスの貨物列車シーンはまさに抱腹絶倒。声を出して笑ってしまうこと間違いなしだ。正直いって、映画を観てこんなに笑ったのは久しぶり。鑑賞後もしばらく思い出し笑いをするほどの破壊力なので、笑いすぎて涙が出たときのためにハンカチ持参の方がいいかもしれない。

ラストは続きが気になる展開。一作目も観たいし、続編も早く観たい!皮肉も笑いも超一流。イタリア映画おそるべし。

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