トリノの秋が寂しくて、美しくて、温かかった。
孤独を紛らわせて走らせる少年の自転車。
チェーンが外れた車輪はペダルを漕げども前に進まず、そんな空回りの人生なんてこの世には数え切れないくらいあるのだろうけど、そこに僅かでも救いがあるよう願わずにはいられない。
こどもを成長させるのは同世代の友人と良き大人だって、そんなの当たり前のことだが、この良き大人とはどんな人かっていう答えがここにあるような気がする。
こどもの頃、DV被害から逃れてきた母子を我が家で匿っていた時のことを思い出した。
今の私はあの時の大人たちよりも歳をとっていて、彼女たちの抱えていた複雑さを理解することができるようになった。しかし果たしてより成熟しているかといえばそうでもなさそうだ。なんてことを考えたりした。
