ペイン

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのペインのレビュー・感想・評価

4.0
「パディントン2」「シェイプ・オブ・ウォーター」といい今、確実に“波が来ている感”があるサリー・ホーキンス。

その中でも本作は“サリー・ホーキンス渾身の演技”の1つだろう。とにかく演技が素晴らしい。特に終盤のサリー・ホーキンスは樹木希林すらも彷彿とした。気のせいかな?(笑)

イーサン・ホークも良い感じに歳を重ねて円熟味が増してきていて最高。やはり俳優は、いや人間若ければ良いということではないんだなぁということを改めて思わされた。とにかくこの二人はキャリアベストアクトだとすら思う。

ただ正直に打ち明けると本作は公開されるまでは全くノーマークでしたし、公開後にあちこちで絶賛されるも、なんとなくポスターのサリー・ホーキンスの感じも相まって“メルヘンチックな作品”な感じがしてあまり食指は動かなかった。

ただ蓋を開けてみるとこれが観ていて胸が締め付けられる素晴らしい作品だった。サリー・ホーキンスの演技も相まって良い意味でしんどい。非常に淡々としていてささやかな日常を映し出し、人の心の機微を丁寧に描いた映画で最近の作品だと「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「パターソン」なんかを思い出した。

画家である主人公、モード・ルイスの作風は田舎の風景などをモチーフに明るい色彩とシンプルなタッチで素朴で幸福感がある。この作品もまるでモード・ルイスの描く絵の如くシンプルで素朴。ある一組のカップルの愛の実話。

劇中、モード・ルイスが"私は絵筆があって自分の描きたい絵が描ければそれで幸せ"的なことを言うが、ほんとに人生好きなものがあってそれに打ち込めるだけで充分幸せなことだなと。

プレデターやら巨大鮫が出てくるような派手なジャンル映画ではないが、たまにはこういう心に染み入る映画も良いじゃないの。感想おわり。
ペイン

ペイン