くわまんG

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのくわまんGのレビュー・感想・評価

3.0
サリー・ホーキンスがイライザで良かった。イーサン・ホークはもっと良かった。それ以外は全てイマイチだった。

みどころ:
主演二人の演技
二流実話ベース
Wikipediaなぞっただけの脚本
Wikipediaの方が感動的な演出

あらすじ:
幼少時から難病を患い、変形した体に石を投げられて育ったモードは、家にこもって絵を描くのが好きな少女だった。しかも若くして両親を亡くし、遺産は兄に使い込まれ、病気のせいで仕事もなく、同居人の叔母からは穀潰し扱い。
もううんざり…飛び出したモードは、不自由な脚を引きずり隣町へ。粗暴な漁夫エベレットの元で、家政婦として働くことになるが、ここでもペット以下の仕打ちを受ける。
後も先も断たれたある日、ふと目に入った塗料。心の逃げ場を設けるように、気づけば指は、壁に絵を描いていた……。

「数奇な運命の人がいて、こんな偉業を成し遂げたんですよ。すごくないですか?」なんて物語、面白いわけないじゃないですか。だいたい、モード・ルイスのWikipediaを読んだ後、その可愛らしい作品をGoogleで見れば、多くの人が微笑んでしまうはず。実話ベースで、資料以上の感動を呼ばないんじゃ失敗作ですわな。

芸術家が主人公なんだから、例えば「尖った年増二人が手を取り合いながら成熟して、いびつだけど温かな夫婦関係を築いてゆくさまを追った」脚本とか、「その生涯で二つの町しか知らない女性の目には、世界がどう見えていたのかを視覚化または聴覚化した」演出とか、踏み込んだ脚色が欲しかった。「窓がフレームで、景色が絵なのよ。」って台詞で説明してどーする…それも二回も…。

出来は色々お粗末な一方、主演二人の演技力は満点であります。特にイーサン・ホーク。こんな役もできるんですねぇ、素晴らしい。映画自体が面白ければ助演男優賞ノミネートレベルだったなぁ。