Oto

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのOtoのレビュー・感想・評価

4.0
開始30分くらいでこれは泣けるやつだな〜と悟ったけどかなりやばかった。

留まることを黙認した時、カードが売れた時、未完成の絵を売らなかった時のシーンは、特に胸を打たれた。
屠殺もアートそうだけど、経験したことのある人にしかわからない辛さと嬉しさがあると思う。

モードだけじゃなく夫婦の物語として描いていたのも良かった。"A pair of old socks"のくだりが最高。
妻の活躍によって面目を失って葛藤する夫の気持ちもわかるし、徹底して他人を信用しない(おば、兄、ニクソン、医者)で寄り添う二人が素敵。網戸のシーンとかラストの求人とかもめちゃ好き。二人ともツンデレ。

死が身近な感じがしたので、ベイビーのくだりは割と驚いた(しマジでゴミ家族だなと思った)けど、そこからの終盤が(一辺倒な音楽演出のせいもあってか)冗長で予想通りに感じてしまった。中盤までの調子なら今年ベスト級だった。

脚本よりは演技で魅せる映画だと思ったし「不器用」な演技が二人とも素晴らしかったけど、特に今年はSally Hawkinsの年だな〜。年間ベストに3本くらい入れてしまいそう。ラストの本人映像みて、サリーとそっくりだなと思った。
彼女の死後、あのカラフルな家で暮らすことになる夫のことを想って勝手にエモい。地味な物語ではあるけど、だいぶ染みた。
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