しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスの作品情報・感想・評価 - 2ページ目

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」に投稿された感想・評価

ペイン

ペインの感想・評価

4.1
「パディントン2」「シェイプ・オブ・ウォーター」といい今、確実に“波が来ている感”があるサリー・ホーキンス。

その中でも本作は“サリー・ホーキンス渾身の演技”の1つだろう。とにかく演技が素晴らしい。特に終盤のサリー・ホーキンスは樹木希林すらも彷彿とした。気のせいかな?(笑)

イーサン・ホークも良い感じに歳を重ねて円熟味が増してきていて最高。やはり俳優は、いや人間若ければ良いということではないんだなぁということを改めて思わされた。とにかくこの二人はキャリアベストアクトだとすら思う。

ただ正直に打ち明けると本作は公開されるまでは全くノーマークでしたし、公開後にあちこちで絶賛されるも、なんとなくポスターのサリー・ホーキンスの感じも相まって“メルヘンチックな作品”な感じがしてあまり食指は動かなかった。

ただ蓋を開けてみるとこれが観ていて胸が締め付けられる素晴らしい作品だった。サリー・ホーキンスの演技も相まって良い意味でしんどい。非常に淡々としていてささやかな日常を映し出し、人の心の機微を丁寧に描いた映画で最近の作品だと「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「パターソン」なんかを思い出した。

画家である主人公、モード・ルイスの作風は田舎の風景などをモチーフに明るい色彩とシンプルなタッチで素朴で幸福感がある。この作品もまるでモード・ルイスの描く絵の如くシンプルで素朴。ある一組のカップルの愛の実話。

劇中、モード・ルイスが"私は絵筆があって自分の描きたい絵が描ければそれで幸せ"的なことを言うが、ほんとに人生好きなものがあってそれに打ち込めるだけで充分幸せなことだなと。

プレデターやら巨大鮫が出てくるような派手なジャンル映画ではないが、たまにはこういう心に染み入る映画も良いじゃないの。感想おわり。
ぴろ

ぴろの感想・評価

4.5
傑作でした。
忘れられない映画になった
窓越しに見えるあの感じよかった。
カナダで最も人気のある画家、モード・ルイスの生涯を描いたドラマ作品です。

モードは子どもの頃から重いリュウマチを患い、身体が不自由なために差別され、身内からも厄介者扱いされてきました。
どこにも居場所がなくて孤独で、ただ絵を描いている時だけが自分らしくいられる、そんなモードと、孤児院で育ち学もなく、必死でいくつも仕事をこなして働いても貧しく、孤独で粗野なエベレットが、いつしか孤独を分け合え、互いにとって大切な愛する存在となっていく過程にじんわりと心が温まりました。

エベレットは、はじめ住み込みで家事手伝いをしたいと押しかけてきたモードの不器用さに苛立ち、時々意見してくると暴力を振るう事さえあって、女性で障害者でもあるモードを疎ましく思って見下していながらも、差別されてきた事を知ると、どこか自分と重ね合わせてシンパシーを感じたりしたのだと思います。
だから、モードの事を完全に見放す事ができなかったし、モードは唯一、自分を認めてくれる人でもあり、いろんな困難がありながらも、ふたりが少しずつ信頼し合えるようになり、距離が縮まって必要とし合えるようになっていくのが、エベレットの家の壁や家具がモードの絵で彩られ、質素で荒んでた家の中がだんだん華やいでいく過程とつながっていて、そんな描き方も素敵でした。

明るくなったのは家の中だけでなく、エベレットとモードの心だってそう。
自分のためだったごく個人的な絵を、他人から認められ、それが売れるというのがどれだけモードの心に灯をともしたことでしょうか。

これまで一人前の人間としての価値や尊厳を誰からも認めてもらえてなかったモードにとって、絵が売れる事は自尊心や自分が生きてる意味を与えられたような気持ちだったのではないかと思います。

それがエベレットとの生活の足しにもなり、自分が2人の暮らしに貢献できているという喜びがどれだけ大きかったことでしょう。

人をどう愛していいかわからないエベレットが、それでもモードが勝手に壁や窓に絵を描くことを咎めずに受け入れ、不器用ながらも見せる優しさと、芯を持ちながらも相手に寄り添う優しさとチャーミングさを持つモードが、貧しい中でも幸せを手に入れ、2人の慎ましくささやかな暮らしが豊かに見えてきました。

誰からも必要とされず、愛されもせずに生きてきた2人が、その穴を埋め合わせるパートナーと出会い、大好きな絵を描き続けられ、絵が売れだして有名になってからも、電気もガスもない小さな家での暮らしを続けたのは、2人でいられることそのものが幸せだったからなのでしょうね。

モードの描く絵が素朴で可愛らしくて素敵なのと、モードを演じたサリー・ホーキンスもエベレットを演じたイーサン・ホークも本当に素晴らしい演技で、サリー・ホーキンスは不思議な茶目っ気があって可愛らしいし、イーサン・ホークは声も体型も貧しく無骨な男を見事に演じていました。

地味な作品ではありますがとても良かったです。

102
じゅん

じゅんの感想・評価

3.8
凄く温かく優しい気持ちになれました。
映像も美しく、景色も綺麗な映画で、孤独な2人が、時間とともに距離が縮まっていく。彼女の絵が人柄、生き様を表しているんだなぁって思います。
夫婦役のお二人の演技が素晴らしいです。夫婦の愛の形、こうでありたいなあと思えました。絵もほんわかしていて良かったし、最初に絵を買ってくれたマダムも良い人〰️(^ω^)それにしても、以前ならこういう作品はなかなか手が出なかったんですが、このアプリに出会えて、皆様の映画愛、映画の知識や見方などを教わり、今年はこの作品も含めてたくさんの良い映画と出会えて幸せです(^ω^)以前なら、近場の映画館で上映する映画を待つスタイルでしたが、今は、アチコチ脚を運び、自分の嗅覚、皆様のレビューをたよりにして、県外まで鑑賞するようになりました。また、皆様が素敵な映画と出会えたらお裾分けさせて頂きます(^ω^)
す

すの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

2018年133本目。

イーサンホークとサリーホーキンス、二人が織りなす繊細な演技が美しい。

人と比べることではなく、当人がどう考え、どう思うのかがすべてであることを教えてくれる。

孤独だった二人が徐々に関係を築き、お互いを想う気持ちが結ばれていく姿には学ぶものが多い。

不器用なのかもしれないけれど、だからこそ噛み合う二人の歯車。

愛情がどれだけ人を強く生かすのか…この映画がモードの絵のように温かく教えてくれる。

結婚式を挙げた日の、足に足を重ねてのダンスシーンに二人の心の通わせ方を見た。

イーサンホークはサリーホーキンスのことを"40kgの激情"と呼んでいるらしい。
是非また共演をしてほしい。
きょん

きょんの感想・評価

4.2
み終わった後からもジワジワ良い。

このレビューはネタバレを含みます

サリー・ホーキンス、
そしてイーサン・ホーク。

素晴らしい。
もの凄い深みのある演技でした。

カナダの海辺の田舎町に暮らす、リウマチ障害を患う主人公、モード・ルイス。
後に画家として脚光を浴びる訳ですが、むしろ障害を持ち、愛を求める主人公の、非常〜に心に刺さる恋愛サクセスストーリーであったと思います。

孤児院育ちで人嫌い、野卑で粗暴ないでたちの魚行商人、エベレット。
彼がボロボロの服でど田舎の日用品店に現れ、女が欲しい、いや家政婦がいる、掃除用具を必ず持ってこいとメモ用紙に求人広告を書き、掲示板に貼り付けるところから、ロマンスが始まる…‼︎
なんと…なんと渋い演出でしょうか⁉︎

こちとら数十年浴びるほど映画を観てる訳です。
もう大した出会いじゃトキメキません。

そしてイーサン・ホーク。
実は私の中ではどちらかというと顔で勝負系な役柄が多く退屈なハリウッド俳優であった彼の、涙を誘う渋い演技。
昇格です。まさに顔だけじゃない演技派俳優へ、私の中では昇格です(;ω;)‼︎

障害を持つことから親族の間でも厄介者扱いをされ、孤独を感じながら生きるモード。
エベレットが貼ったメモ用紙を人目に触れぬようすぐに剥がして手中に収めた時の、彼女の視線。
愛されるチャンスを得た一瞬の、モードの嬉しそうな顔が忘れられません。

いくら顔がイケメンでもエベレットのいでたちは女どころか犬も寄り付かないような有り様です。
しかも性格は孤児院育ちの家庭知らずから来るのか厄介で頑固で偏屈、口は悪いわ常識ないわ女性蔑視だわ、大抵の女は逃げ出すでしょう。
しかしモードは逃げなかった。
彼女は彼の中に潜む繊細さや優しさを見逃さず、彼とのロマンスに人生を賭けた訳です。

小さな小屋のような家、ボロボロのベッド、使い古された食器、家具…色彩を失っていた彼の家が、モードの愛で彩られていく。するとどうでしょう、古くてボロボロの家や家具が、まるでとびきりのビンテージ物のように輝いていきます。

彼らの愛情もそうです。
孤児院暮らし、貧困、障害、さまざまな世間から貼られるレッテルや評価から、何かしら自分は人より劣っている存在ではないかと劣等感や怯えを抱いていたモードとエベレット。
しかしモードがエベレットに正当な愛を望み、そして野卑な態度を続けながらも徐々にモードに対する信頼や愛情を育み、相手の愛情に誠実になろうと変化して、ラストには深くモードを愛することができたエベレット。
モードを深く愛することができたということは、エベレット自身が自分を深く愛することができるようになったということです。

モードが死ぬ瞬間、悲嘆に暮れ憔悴するエベレットに囁きます。

私は愛されたの。愛されたのよ。

モードの絵筆缶をエベレットが開けると、古く変色したメモ用紙。
エベレットの求人広告。

彼が貼り付けたメモ用紙が、彼女の愛の人生のサクセスストーリーの始まりだった。

考えてみたら変な文面です。

家政婦求む、掃除用具を必ず持参せよ!

エベレットが求めていたものも、実は最初から、愛する人だったのです。
認めたくなかっただけで。

小さな古ぼけた家、ボロボロの質素な暮らし。
だからこそ、こんなに二人の愛情が際立って輝く。
モノにこだわらず、愛に生きる。
なんてロマンチックな、作品でしょうか。

正直言って、サリー・ホーキンスの代表作はコレですね。
けしてシェイプ・オブ・ウォーターじゃないです( ̄∀ ̄)

いや〜、久々に良い作品を観ました。
大満足です(;ω;)✨
世間から 異質とされ、親からも変人扱いされていたモードが、
これまた孤独で他人を道具として認識しているエベレットの家に 家政婦として半ば強引に雇ってもらう。

モードは人の家なのに勝手に壁に絵を描き、喧嘩して家をでてくように言われても勝手に家事を続け、
それはもう滅茶苦茶でエベレットに殴られてもおかしくもないとも思った。笑

しかしモードは、どこか抜けていて人に従ってばかりの女性かと思いきや、傲慢でありつつ知的で思いやりのある、魅力的な女性。

あれだけ人としても女性としても扱ってこなかったエベレットが徐々に惹かれていくのもわかる。
ついには彼女のために掃除をし、裁縫をし、スープをつくる。協力的で彼女を支える良い旦那となった。
良い関係性の夫婦。

どんなに質素な暮らしで、周りから非難されてもそれは言わせておけば良い。当人同士が愛し合い、ステキな思い出を作って 肯定して理解して生きていくこと。
とても学ぶことの多い映画だった。