映画狂人

STOPの映画狂人のレビュー・感想・評価

STOP(2017年製作の映画)
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震災後の日本をテーマにギドクが単身乗り込み、監督・脚本・撮影・録音・編集・配給まで一人でやってのけた問題作。
「どうしても撮りたいんだ!」という凄味や気概は感じるが、気持ちが先走り過ぎていて残念ながら信者からみても失敗作と言わざるを得ない。
やはり2010年代のギドクは作風の変化が余りに顕著、監督作品を観るのはこれで16本目になるが現時点で断トツのワースト。
3.11後、原発事故や放射能を題材にした作品は多数製作されたがその中でも本作は相当酷い出来(それでも園子温『希望の国』よりはマシだと思う)。
例えば『おだやかな日常』や先日観た短編『残光に祈りを』のように抑えた演出で冷静に撮っていたらもう少しどうにかなったのでは。
ゲリラ撮影の東京パートがほぼ新宿と思い出横丁なので見慣れた景色が多数出て来て、ここにギドクが来ていたのかと思うと感慨深くはあった。
外国人監督が日本を舞台にする際に必ず目に付く違和感も幾つか、同じ東アジア人なのでまだ許容範囲レベルではあったが真面目に観ているのが馬鹿らしく思えてくる箇所もチラホラ。
特に役者の台詞回し、妙に節が付いていたり不自然過ぎてキツい。
自分が日本人なので余計に気になってしまう。
映像からも超低予算で製作された事がひしひしと伝わって来る。
狂女が出て来る辺りなんて『ビー・デビル』かと思ってしまった(『ビー・デビル』のチャン・チョルス監督はギドクの助監督などをしていた)。
あと、映画に限らずこういう非常時に冷静さを失いヒステリックに金切り声あげて喚き叫ぶ女が1番嫌い。
心底不快でイライラしてくる。
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