yksijoki

デトロイトのyksijokiのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.8
緊迫し、重く、救いがない。
どちらか一方が悪いとか人を殺めたかどうかということを抜きにして「わかりあえない」状態が今この時点でも続いているということに非常に沈痛な思いにさせられた。

物語の大半を占めるのはデトロイト市警の白人警官によるモーテルの中にいた若者への尋問。ここでの白人警官ウィルポールターが憎たらしいこと極りなくて割と本気で嫌いになる。銃を突きつけられ、言わなきゃ殺すと脅され、殴られる。非日常としか思えない出来事だがこれは現実である。途中で「黒人は銃を胸に突きつけられながら、いつ突きつけられるかわからない恐怖と向き合いながら生きてる」といった趣旨のセリフがあったが、本当にそういうことなのだと思う。

主人公はコイツですという見せ方を最後までしていないところも良かった。ある意味観ている我々が当事者であり主人公であるのだなと感じさせられた。ジョンボイエガもアルジースミス演じるラリーもその表情に鬼気迫るものがあったし、それぞれに味があった。

モータウンと黒人音楽というところもある意味では救いの一つなのかもしれないけれど映画の中ではより辛くなるきっかけでしかなかった。

観ている間の気分はアクトオブキリングにすごく近かった。どのシーンも全然楽しめないしモーテルでのシーンに関しては早く終わってくれと願うばかりだった。当時の写真なんかを途中で交えていたことも相まってそこの再現度の高さは素晴らしかった。

ゼロダークサーティの時も思ったけどこの監督の作品はアル中かってぐらいカメラの揺れがひどい。本作も派手なアクションなしで揺れること揺れること。個人的にはそこはあまり好きになれなかった。。
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