白人警官くそだなと憤りを感じるけど中にはいい奴もいたということをさりげなく見せるバランス感覚はとても良いと思いました。黒人にだって悪い奴がいるということを描いている。対立構造を容易に煽ることができるのに踏みとどまって忠実にあの時代あの場所で起きたことを再現してる。とても好印象。
やはり中盤のアルジェ・モーテルでの事件はこの映画の白眉。あの場に居合わせたかのような臨場感。いつ殺られてもおかしくないあの現場は不条理すぎてはらわたが煮えくりかえる気持ちに。
それでもあのジョン・ボイエガが演じた警備員であっても警官を怒らせずに見えないところで助言をすることしができないのだ。だから彼の何もできなかった苦悩が伝わってくる。
ウィル・ポールター扮する警官はてめーは親が黒人に殺されたのかってぐらい黒人を忌み嫌ってる様子。目がね逝っちゃってましたよ。「なんちゃって家族」ですっとぼけた奴をやっていたとは思えないほどのクソ野郎に変身するのだから役者って凄いなと。
自分が身にまとう肌の色や制服によって相手の態度が変わるのは今の時代でもあるしこの事件はいつでも起こり得る。でもいつの時代も良き人がいることをラストのゴスペルが示唆していて印象的でした。やはりキャサリン・ビグローは骨太で期待を裏切らない。
