れんれん

デトロイトのれんれんのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
2.5
実際にあった出来事を映画にする場合によくあるが、「その後、裁判で、このような裁定が下され、それはそれとして、Aはこんな死に方をし、Bは無事に余生を送っている」みたいな後半のまとめ方をするケース、これでこの映画は損をしているなぁという感想。

「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグローだから、命が、銃を持った者によって、あっけなく散らされる場所の緊迫感はものすごく、タランティーノみたいなノリのドンパチでの殺人の瞬間や血まみれ死体を描かずとも、生理的に恐怖を感じる。差別主義者の白人に震え上がる黒人の息づかいが、我が事のように伝わってくる。自分も震える。怖い。
「戦場」(このデトロイトの暴動も含め)で行われる命のやり取りを描いた映画は山ほどあるが、そこでの命のあっけなさや理不尽さ、虚無感、怒り、人を苦しめるある種の忠実さ……を同時に描けるのが、ビグロー監督なのでは。

それがゆえに、「これは史実でありまして、その後……」という後半パートが、余計なものに感じてしまった。

差別主義者で、黒人を殺害した白人警官は、陪審のあと、警察には戻らなかったそうだが、どこで、どう生きて、どう死んだのだろう。そちらに興味が湧いた。

ウィル・ポールターが演じた差別主義者の白人警官、これがすごいキャスティング!
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