やわらか

デトロイトのやわらかのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.1
とても重たい映画。警官役のウィル・ポールターの演技が凄まじい。自分達がそこに居て、事件に遭遇してしまったかのような緊張感が140分間続く。これ、最近流行りの「実際に起こった事件に基づく映画」の中でも、同監督の「ゼロ・ダーク・サーティ」と並んで圧倒的に迫真性が高いと思う。
 
この種の映画の問題点として、ドラマとしての評価と実際に起こった事件に対する感情が分け難いところがあると思う。自分は「デトロイト暴動」のことも知らなかったし、その背景となるデトロイトの街の歴史も詳しくは知らなかった。ただ、映画を通してあたかも事実のように状況をイメージし、そこで起こったことやその後の裁判の行方を不当なものとして見てしまう。
 
ただ、現代に記録として残る情報は少なくて、警官達が無罪になったことの妥当性を外部の人間が客観的に評価するのはとても難しい。後50年経ってから、この映画を観た人が中間的な立場で事件をジャッジすることは不可能になってしまうんだろうな。
 
あとは今これを撮った理由を知りたいな。事件発生から50周年というところはもちろんあるんだろうけど、黒人だけでなくアジアやヒスパニック、アラブからの移民が入り混じった現代のアメリカの状況に対してどんなメッセージを持つんだろうか。監督のインタビュー読んでみたい。
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