みゆ

デトロイトのみゆのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.8
2018.02.01(21)
劇場・字幕


私はこの事件のことを全く知らずに今作を見た。予告なども全部回避して、どんな話なのか全く知らずに見た。キャスリン・ビグローにはそれだけの信頼を寄せている。

すごく良かった。

ウィル・ポールター演じる悪役警察官については、最初のセリフをきちんと覚えていたので単なる悪者とは思えなかった。そもそも彼らの行動は暴動ありきである。アフリカ系アメリカ人たちがそれまで鬱屈し抱いていた不満を爆発させたことで暴動が始まってしまった訳だが、なぜアフリカ系アメリカ人が同じアフリカ系アメリカ人の店を壊したり掠奪したりするのかは理解出来なかった。だから鎮圧に動く警察官たちが(若さ故に謙虚さを学べず、過分に行き過ぎたことをしていた事実はあるにせよ)それぞれ正義感を持って動いていたのは最初のセリフから分かるし、もちろん無抵抗の者を背後から撃つとか、その後の密室劇の部分については完全に擁護の余地はないのだが、正義感が行き過ぎて間違えてしまい、そこから戻れなくなってしまったのだということは理解出来る。それが許されないことだということも全部含めてだ。

それは複数の登場人物のセリフにもあった通りで、悪いことをしたり行き過ぎて間違えてしまったりする人は「本当にごく一部なのだ」ということ、そこをキャスリン・ビグローは丁寧に描いていたように思う。

そして更に「体験した人とそうでない人との間には理解し得ない大きな壁がある」ということも、とても強く伝わってきた。同じ喪失感を味わっているはずなのに、身内である兄よりも友人である経験者の悲しみの方が、現場にいた分だけ深く具体的なものであるのだろう。

今作は長いアメリカの歴史の中の一部を、きちんと浮き立たせて見せてくれた。少なくともこの作品を見たことで、今後この事件のことを調べてみようと思えたし、こういう過ちや、恐怖心とともに言われなき屈辱を植え付けられるようなことは、誰にでも起こり得るのだという教訓も得られたように思う。

物足りなかった点。暴動が起こった流れについてもう少し詳しく描いてくれたら、もっと分かりやすかったかなと、不勉強な私はそう思った。

【メモ】
字幕で黒人・白人という記載になっていたが、いつかはこの表現も使われなくなっていくのだろう。