Hondaカット

デトロイトのHondaカットのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.4
88点。歴史的暴動の動乱に放り込まれたような感覚は、まさにキャスリン・ビグロー節の手腕で、終始ヒリヒリとした緊張感!あれだけのテンポなのに、限られた時間軸の中でも、登場人物の感情が痛いくらいに伝わってくるのは凄い。

ビグロー監督は【場】の空気感を描くことに圧倒的に長けていて、全てのリアリティはそこから出発してるように思う。ほんのすこしのカメラワークだったり、編集のテンポだったりが、作為的でありながら、まったく無作為にみえる。

たぶん、フィクションなのにここまで迫真のリアルに見えるのは、何かを「見せる」時の、優先順位というか、分量というか、それの匙加減が絶妙だからじゃないか?「何を、どこまで提示するか」という事。それが『ハートロッカー』以降、突きつめてきている手法だと思う。そのための大量の撮影素材であり(『ゼロ・ダーク・サーティ』は撮影素材320時間!)、言ってみればクリストファー・ノーランの方法論とは全く違う。もっと純粋に映画作家寄りの匠の技である。(ノーランは奇術師に近い)

白人警官側を単なる悪役にせず、かといって過剰に深みを持たせたりもしない。あくまで公正に描いてるおかげで、より【事件】と【人間】が立体的に浮かび上がってくる。ただの、歴史的事件ドキュメントではなく、人間性の本質を普遍的に俯瞰して観ることができるのが、こういった映画の意義だろう。というわりに堅苦しさがなく、ちゃんとエンターテイメントとして成立している。2時間20分、全く飽きず。素晴らしい。