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デトロイトのcatmanのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.0
あのドラマティックスにこんな苛烈な過去があっただなんて!名曲『Whatcha see is whatcha get』が、この映画を観た後では格段に深みが増して響く。なんと言うスリリングなボーカル&アレンジなんだ。痺れる!!!! 彼らが結果的に、洗練された楽曲で幅広く白人層にも人気のあったモータウンではなく、よりR&B色の濃い音楽性が特色のスタックスと契約したことを考えると更に感慨深いものがあるって寸法。

映画そのものには不満もある。ビグロー監督は『ハートロッカー』に続いて2作目なんだけど、この人ちょっと自分には合わないな。先ず手持ちカメラのブレブレ映像&性急なズームが苦手。ドキュメンタリータッチによって臨場感を演出するのが目的なんだろうけど、逆にフェイク感を強く感じて鼻白んでしまう。画面が揺れるのは生理的にも苦手。酔う。終盤では慣れて来るだけど。

あとやっぱり実話ベースの映画ってどうしても素直に受け入れられないところがあって、実際の出来事に対して制作者による意図的な脚色や創造を観客に刷り込むと言うことに抵抗感を拭えない。それが本作の様なシリアスなテーマであればあるほど。もちろん問題提起することに意義があるのは理解してますけれども。

キャストは皆良い。アルジー・スミスはスター性があるし、ウィル・ポールターの憎々しさ半端無い。彼の今後の身柄が心配だ。サントラはもちろん聴きごたえ十分で、過去の名曲群に並んで最後に流れるThe Rootsとビラルによるオリジナル曲も絶品。Right on!!
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