mikaramu

デトロイトのmikaramuのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.9
冒頭から、"臨場感の鬼"ビグロー監督の映像世界に没入。これは3Dや4Dでは代替できない映画の賜物。暴動のささいな「はじまり」もきわめてリアルに描かれる。
モータウン好きとしては長年、当時の現地であの明るい弾む音楽が実際どう鳴っていたかに興味があったが、この緊張、絶望との隣りあわせ感は私の今後の耳に複雑な味わいをもたらすだろう(モータウンがいかに表層のおいしいとこだけパクられてきたか実感できる)。

同じく黒人差別を描いた「それでも夜は明ける」の奴隷罰則シーンでも感じたことだが、本作の「死の拷問ゲーム」でも、どうしても構造面で日本の某大晦日のバラエティ番組を想起してしまった。その番組自体の是非はおくとして、"人権もてあそび"と"ゲーム性"との、どす黒い相性の良さに気づいてしまい戦慄した。

ビグロー監督の「作品」としては、個人的には「ハートロッカー」「ゼロダークサーティ」のほうが完成度高かった感触。だがそれらよりも日常の地ベタの出来事を扱った本作が''長く"感じられたのは、監督の狙い通りでもあるだろう。実際のあの夜の長さを想像すると気が遠くなるばかりです。

白人警官2人の悪役は演技とは思えないほど怖い表情を終始保つ。あまりにリアルすぎたので、彼らは今後プライベートでも黒人の多い場所は歩かないほうがいいのではないだろうか…。
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