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デトロイトのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.9

負のスパイラル🎬

今の状況だからこそ、もう一度レビューを書きたいと思い前のレビューを削除して再アップします。

ストーリーは1967年に起きたデトロイトの暴動を題材にモーテルで警察が宿泊客に行った過酷な自白行為を描いた作品でした。2020年5月25日、ミネアポリスでアフリカ系男性ジョージ・フロイドさんが、警察官によって首を圧迫されて亡くなりました。その光景を捉えた映像は即時に広がり、アメリカでは各地で大規模な抗議運動が展開、一部が暴徒化して、暴動、そして略奪が起きている地区もあります。また同日のニューヨークのセントラルパークでも散歩中の犬にリードをつける規則があるエリアで飼い犬を放し飼いにしていたエイミー・クーパーさんを、バード・ウォッチング中のクリスチャン・クーパーさんが注意したところ、彼女は無視したうえに、その様子をスマホで撮影されると「黒人男性に撮影され、自分と犬が脅されている」と警察に通報した事件がありました。規則を破っても、白人女性である自分が「黒人男性」を強調すれば、警察は味方になってくれると思っての行動です。1965年のワッツ、1967年のデトロイト、1992年のロサンゼルス、2014年のファーガソン、これまで人種差別による事件は多く発生しましたが今回の件を受けてさらに終わらない人種差別に怒り心頭の人々が、抗議の声を上げるために集まり、警察が武力行使をし、一部が暴徒化して火の手が上がりました。発端はいつも似たり寄ったりで警察官や自警団を名乗る白人男性が、丸腰の黒人男性を殺しても、「職務のうち」「治安のため」という理由を盾に罪に問われない。アメリカ人は、抗議の気持ちは行動で示す。自分の権利を主張するために集まって声をあげるのは黒人だけではなく、1960年代後半はすべての人種が公平を求めてそれぞれ抗議運動を行ってきました。黒人差別についてだけ半世紀、いや、一世紀以上も抗議運動が続く理由は、元凶となる差別が改善されるどころか、悪化しているからであり2013年から始まったBlack Lives Matter運動の特徴としては、褐色の肌の人々だけではなく、人種差別に辟易している他人種の人々も行動をともにしていること。人種差別撤廃運動は当事者の黒人がもっとも多いが、常にサポーターがおり、1960年代の公民権運動にも、白人やアジア系の参加者はいました。一方、63名が命を落として最悪の結果を招いた30年前のロサンゼルス暴動の際は、黒人が多く住む地区で店を出していた韓国系やユダヤ系の店が多数襲われたので、原因が同じでも時代ごとに結果や影響は異なりました。この事件を受けて本当に悔しい想いでいっぱいですし、同じ人間なのに肌の色や宗教の違いで罪の重さが変わり、殺されなければならないのか、到底理解できるものではありません。人種差別といえば黒人の方がフォーカスされることが多いですが、黄色人種、イスラム圏の方への差別も多いです。今回のコロナの一件でアジアへの差別も悪化の一途を辿っています。私も海外に行った際、差別的言葉や目を釣り上げるなど差別的行為を受けたことがあります。本当に胸糞悪いですし、ふざけんじゃねぇと思いました。彼らは同じ人間なのにどこかで自分たちの方が上だと思っているのでしょう。またイスラム系の方はイスラム圏=テロリストというレッテルが貼られ、テロリストなどと罵られるなどの扱いを受けています。何度も言いますが、何で同じ人間なのに、生まれた場所や肌の色でこんなにも違う扱いをされるのか、、言葉が悪いですがお前らに直接何かしたか?と問いただしたいです。歴史を遡れば、白人も黒人も黄色人種もその他人種、全ての人種殺し殺され侵略、戦争の歴史を歩んできたことは紛れもない事実です。一言で言えば現代を生きる人にとって過去のことはどうでも良いと思うでしょう。しかし、私たち歴史を知り学び、伝え、二度と繰り返してはいけないという使命があります。二度とこんな事件は起きて欲しくないですし、起こしてはいけません。今できることは何が起こっているか知り、立ち上がることです。

昨今黒人差別を描いた映画が増えるなかで、今作は大本命です✨正直観た後の感想は胸糞悪く最悪です。それでも観るべき作品だと思いました。デトロイトで起きた暴動を通じ、"黒人差別" "白人至上主義" "アメリカン・ドリーム" など様々な角度からアメリカという国にアプローチしており、アメリカ文化の闇を描いていました。ドキュメンタリー志向が強く、同監督は前作「ゼロ・ダーク・サーティー」でも確かにリアリテイに対するこだわりはヒシヒシと感じましたが、今作は比べ物になりません。実際の画像や映像が映画に組み込まれていたので、アメリカンスナイパーに似てると感じました。これがフィクションではなく、実話ベースで作られてる事実を今だに受け入れることができません。映画が進むにつれ、何度も悔しいと思い、何度も拳を握りました。

見所
・黒人差別の歴史とデトロイトの暴動
・モーテルでの惨劇
・事件後の裁判
・白人警官役を演じたウィル・ポーター

この映画を通して、私たちは自国の負の歴史だけでなく、他国の負の歴史について学ぶべきだと考えました。人種差別はこの先何十年経とうともなくなることはないと思います。男女平等、差別撤廃を掲げていますが、実際は大物プロデューサーによるセクハラ、グラミー賞でノミネートされたアーティストの殆どが黒人などこの世に完全な平等などありません。この負の歴史を知ることこそが私たちの責任だと思います。
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