舞台は1967年のデトロイト暴動。日本では学生運動が盛んな時期だったと聞くが、デトロイトの暴動は文字通り気迫も破壊力もケタ違いということを実感させられた。
白人警官による不当な暴力が大きくクローズアップされたが、一番印象的なのは黒人たちの手の震え。壁に向かって手をつかされて尋問を受ける黒人たちの怯えきった顔を、警官たちは見ることができない。その代わり、彼らが心底絶望している様子を手の震えから伺うことができる。
ポーカーフェイスの黒人が無実の罪で留置所に入れられた時に、手がワナワナと震えていたのも印象的。怒りにしろ絶望にしろ、「手も口ほどに物を言う」ということを感じさせてくれる。映画にはモータウンをはじめ、様々な黒人アーティストの楽曲が使われるしコーラスグループも多数出演。
白人警官からの暴行を切っ掛けに「白人が楽しむための歌を歌いたくない」と活動を拒否するメンバーの台詞が、ズシリと胸に来る。白人のために歌いたくないと拒否すること、ショービジネスだと割り切ること、色々な道があるけれど、1967年以降に発表された黒人シンガーの楽曲で、白人への葛藤が無い曲なんて存在しないんだと考えさせられた。
重たいテーマの社会派映画だけど、ソウルミュージック好きにもおススメ。今日はノーザンソウルにどっぷり浸ろう。
