山本

デトロイトの山本のレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.6
60分に渡って描かれる「事件」の描写が評価を受けているようだけど、僕は逆にそこが「長え」と感じて入眠してしまった。しかし見てないのにこういうことをいうのも変だけど、この映画で大事なのは事件の残虐性の描写ではなく、事件が起きてしまった背景の描写だと思う。そんなこといったら冒頭のデトロイトにおける黒人差別を説明したアニメーションだけで十分になるかもしれないが(あのアニメはコンパクトに歴史がまとまっていてとてもよかった)……。
たとえば泥棒らしき黒人が逃げた時、ある警官が何のためらいもなく発砲する。まだ犯人であるという証拠もないのに。そういうところから当時の空気がにじみ出ている。
しかし、最初の暴動からデトロイトがカオス状態になるまでが駆け足過ぎるというか、説明不足というか、間が一枚抜けた紙芝居みたいになっていると感じた。そこが惜しいかな。いや、それでいきなり店のガラス割って強盗するか? と戸惑うことがあった。まあ当時はそのぐらい抑圧されていたということかもしれないけれども。
裁判も結局警察側は無罪になったし、全編に渡って暗い雰囲気があるが、シンガーの彼の美しい歌声が救いになっている。と思った。
山本

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