サムカワ

デトロイトのサムカワのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.7
カタルシスゼロ
ヤダ味満載
せめてもの救いは歌



ダメだ……今何にも手がつけられない。
映画観終わって車で帰ろうとしている現在23時24分。

ひとまず寒くて暗い道をただ当てもなく歩いてみた。

そんくらい、言語化できない"なにか"をぶつけられました。


とりあえずレビューを書くいてみよ〜みたいな感じで今に至ります。


【ヤダ味純度100%】
実話モノ定番のラストのご本人映像と、字幕による後日談。
その字幕に至るまで心底「…はぁ?」と首を傾げ、いら立ちを覚えるほど、不条理がまかり通ったあの時代に言葉が出ません。

そしてもちろん、そういったレイシズムは今でも根絶できていないのが現実。

メインとなるデトロイト市警の3人の白人警官以外も、「人種問題には関わりたくない」と見て見ぬフリ。

これから彼らがどんな非道を働くのかわかっているからこそ、そうなって欲しくないと願うし、実際そうなったときに心底怒りがこみ上げてくる。



【大舞台という夢__その普遍性】
今では考えられないほど、暴力に満たされたデトロイトでの事件を扱っていますが、主人公の1人は歌手として大舞台に立つことを夢見ているという、純粋に夢追い人の物語としての"面白味"もあるのが、本作の魅力。

その夢の行方に涙です。


【話の通じない恐怖】
僕がアルバイト等で嫌な客がいた場合でも「暴力には訴えてこない」という条件が根底にある上で、「早く帰らないかな〜」くらいに思っているが、本作においてのデトロイト市警の彼らは、すぐに暴力を行使するため、理論でねじ伏せようなんて毛頭無理。

この八方塞がりの地獄が辛くして仕方がありませんでした。




とにかく1人でも多くの人に見てほしいですね。
いつしか「スタートレック」の世界のような差別という概念がない世の中になってほしいな……と、稚拙な考えですが、そう思いました。



《2018/06/13》
新文芸坐にて
サムカワ

サムカワ