かっこ

デトロイトのかっこのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.5
1967年にデトロイトで起きた黒人の暴動。
その最中のアルジェモーテルの一夜にフォーカスした作品。

群衆がだんだんと暴徒に変わっていく恐怖。
窓から顔を出した少女に兵士が発砲する狂気。
黒人に発砲したことの責任を問われても悪びれない白人警官の歪んだ差別意識と正義感。
そこからのモーテルでの緊迫の一夜。

白人警官たちの黒人に対する悪意と暴力。その根底にある恐怖と怯え。
白人警官の筆頭であるクラウスがまさに体現していた。
幼さの残る表情とつり上がった眉毛が憎たらしすぎ。
それ以上にモーテルに拘束されている黒人たちの恐怖をひしひしと感じた。
デトロイト全域で起きた一連の暴動を、モーテルでの一夜というミクロ視点に落とし込んだおかげで、
双方の恐怖も暴力も悪意も、良くも悪くも「身近」(悪く言えば「小さく」)感じられた。
暴力だけに訴えて暴徒化する黒人たちには疑問を感じないこともないが、賢明な黒人として描かれるディスミュークスまで白人たちの自己保身と悪意に巻き込まれるのには、もうそういうことなんだろうと怒りしかない。
そして、白人警官たちに白人の判事が言い渡す結論には、理不尽すぎて「時代かな」と諦めすら感じるけど、
未だに警官による黒人への暴行が続いている現状を考えると諦めなんて覚えている暇はないんだろうなとも。
その一方で、この映画を観終えた後でも、同じ世界で起きている人種差別に当事者意識を持てきれない自分にも悲しくなった。

ただ、ずっと感じてたのは「なんで誰もオモチャの銃のことを言わないのか?」
言えるような状況じゃないのか、実は言ったけど警官たちに握りつぶされたのか。
言えるような状況では無い気もするが、どうなんだろう。
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