ミチ

デトロイトのミチのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.3
1967年、デトロイトで起きた大規模な暴動。

混沌としたその世界の片隅で起きた、ある事件の物語。


先日、キング牧師を描いた「グローリー」を観て、同時期の話だったので興味を持ち鑑賞。

公民権法成立から3年。

机上では黒人の人権が認められたものの、人々に根付いた差別感情は、そう簡単に変わらない。

そこには、奴隷制度という何百年もの歴史があるからだ。


そんな中で起きた暴動。

鎮圧に当たるのは、当時95%が白人だったという警官たち。

そして事件は起きる。


監督の手腕と俳優たちの名演が、観客をあの日モーテルにいたもう一人の人物にさせる。

その息苦しいほどの緊迫感。

しかしふと気づく。

自分はどちら側の人間なんだろうと。


実際に起きた事件を基にしているだけに、とても重厚感がある。

しかしあまりにも丁寧になぞりすぎて、映画としての魅力に欠けているように感じた。


もともと脚本は、ドラマティックスのラリー・リードの物語にする予定だったそうだ。

しかし事件を調べるうちに、それが群像劇へと変化していった。

そこにいた人々の思いを込めたかったのだろうが、結果的に掘り下げきれず、事件を描いただけになってしまっている。


歴史の一片として、この作品が多くの人々に届くことはとても意義がある。

ただもう少しどこかに絞って、踏み込んだものにして欲しかったと、個人的には思った。
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